kintoneの費用がユーザー数で膨らむとき|ライセンスの見直し方
- ✓kintoneの費用を下げる第一歩は、アカウントを「毎日入力・たまに入力・見るだけ・使っていない」の4つに分ける棚卸しです。
- ✓見るだけの人は集計表の配布、たまに入力する人は代理入力やまとめ入力など、アカウントを持たない受け方を区分ごとに選べます。
- ✓入力の入口をkintoneの画面から切り離すと、記録を貯める場所はそのままで、アカウントの数を使う人に合わせられます。
1. kintoneの月額がユーザー数で重くなる理由
kintoneは、使う人ごとにアカウントを用意し、その数に応じて月額がかかる契約です。最初は事務所の数人で始めたのに、受注、在庫、日報、品質記録とアプリが増えるたびに「この人にも入れてもらおう」「工場長にも見てもらおう」とアカウントが足されていきます。気づくと、毎日入力している人より、月に数回しか開かない人のほうが多い、という状態になっていることがよくあります。
料金の単価はプランや契約の時期によって変わるため、この記事では金額には触れません。見直しで見るべきなのは「誰が、何のために、どのくらいの頻度で使っているか」です。ここがはっきりすれば、外してよいアカウントと、外すと業務が止まるアカウントの区別がつきます。まず、アカウントが増えていく典型的な形を確かめてください。
- ・新しいアプリを作るたびに、関係しそうな部署の全員を追加している
- ・退職者や異動した人のアカウントが、そのまま残っている
- ・協力会社や外注先にも、確認のためにアカウントを渡している
- ・社長や役員が「いつでも見られるように」と持っているが、ほとんど開いていない
- ・現場の入力を、職人一人ひとりのアカウントで受けている
2. 最初にやるのはアカウントの棚卸し
見直しは、今のアカウントを一覧にするところから始めます。管理画面からユーザーの一覧を書き出し、Excelに貼って、所属、最終ログインの日付、主に使っているアプリを横に並べます。ここまでは総務の担当者が半日ほどあればできる作業です。一覧ができたら、次の手順で区分けしていきます。
- 01一覧を書き出す管理画面からユーザー一覧を出し、氏名・所属・状態(使用中か停止か)を表にする
- 02最終ログインを確かめる直近の数か月、一度も開いていない人に印をつける
- 03本人と上長に聞くどのアプリを、何のために、どのくらいの頻度で使っているかを聞き取る
- 044つに分ける毎日入力する人・たまに入力する人・見るだけの人・使っていない人に分ける
- 05扱いを決める区分ごとに、残す・外す・入力や確認の入口を変える、のどれにするかを決める
聞き取りでは、聞き方に気をつけてください。「kintoneを使っていますか」と聞くと、ほとんどの人が「使っています」と答えます。外されると困ると感じるからです。そこで「先週、何を入力しましたか」「最後に開いたのはどの画面ですか」と、具体的な行動を聞きます。答えに詰まる人は、実際にはほとんど使っていない可能性が高いと分かります。
| 区分 | 使い方の例 | 見直しの方向 |
|---|---|---|
| 毎日入力する人 | 受注・出荷の登録、日報の入力、在庫の更新 | 残す。ここは削らない |
| たまに入力する人 | 月数回の不具合報告、資材の請求、出張の報告 | 代理入力・まとめ入力・別の入口を検討 |
| 見るだけの人 | 一覧や集計を確認する役員・管理職・営業 | 集計表の配布や会議での共有に置き換えを検討 |
| 使っていない人 | 退職者、異動者、試しに作ったまま放置した人 | 契約の数え方を確かめて外す |
3. 見るだけの人のアカウントをどう扱うか
見るだけの人の多くは、一覧や集計を確かめたいだけです。たとえば社長が受注の状況を見たい、工場長が不良の件数を見たい、営業が納期を確かめたい、といった使い方です。こうした人には、kintoneの画面を開いてもらう代わりに、決まった日に集計表を書き出して社内メールや共有フォルダで渡す、朝礼や会議で画面を映して共有する、という方法があります。ただし、見るだけに見えて実は別の役割を持っている人もいるため、外す前に次の点を確かめてください。
- ・見ているのは一覧や集計か、それとも1件ずつの詳しい中身か
- ・毎日見る必要があるか、週や月にまとめて受け取れば足りるか
- ・見たあとにコメントを書いたり、承認のボタンを押したりしていないか
- ・その場で検索して探す使い方(過去の図番や客先を探すなど)をしていないか
- ・見ている内容に、単価や個人情報など社外に出せない情報が含まれていないか
承認をしている人や、その場で検索して探す人は、見るだけの人ではありません。アカウントを外すと承認の流れが止まったり、問い合わせのたびに事務へ「調べて」と頼む手間が増えたりします。こうした人は残したうえで、ほかの区分で調整します。
経営者のアカウントは、遠慮から誰も手をつけないことがよくあります。ここは本人が実際に開いた記録をもとに判断します。月次の数字で判断している社長なら、月初に集計表を受け取る形で足ります。日々の受注や現場の状況を自分で追いたい社長なら残します。どちらに当たるかを、本人に一度聞いてみてください。
4. たまに入力する人は受け方を変える
月に数回しか入力しない人は、アカウントを持っていても操作を覚えきれず、入力のたびに事務へ聞きに来ることがあります。費用の面だけでなく、手間の面でも見直す余地がある区分です。受け方にはいくつかの形があり、件数や入力の中身によって向き不向きがあります。
| 受け方 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 事務が代わりに入力する | 件数が少なく、項目が決まっている | 事務の手間が増える。紙やメールで受け取る形式をそろえる |
| 班長・職長がまとめて入力する | 現場や班ごとに責任者がいる | 誰の報告かを残すため、本文に担当者の欄を設ける |
| アカウント不要の入力画面から受ける | 件数が多く、項目が少ない | kintoneの外の仕組みは別の費用と条件がかかる。社外に出る情報の扱いを決める |
| アカウントを残す | 入力後の修正や問い合わせへの対応も本人がする | 操作を忘れないよう、入力画面を絞って手順を短くする |
代わりに入力する形を選ぶときは、受け取る紙やメールの書式を先に決めます。自由に書いてもらうと、事務が中身を読み解いてから入力することになり、かえって時間がかかります。kintoneのアプリの項目と同じ順番、同じ選択肢で書ける用紙にしておくと、入力は写すだけになります。
5. 入力の一部をkintoneの外に分ける考え方
一歩進んだ見直しとして、kintoneを「記録を貯めて、探して、集計する場所」と位置づけ、入力の入口は別にする考え方があります。入力する人全員がkintoneの画面を開く必要はありません。たとえば現場の日報は、スマホの簡単な画面から送ってもらい、まとめてkintoneに取り込む。紙で受けている報告は、写真やスキャンで集めてAIで読み取り、事務が確かめてから登録する。Excelで集めたものは、kintoneのファイル読み込みの機能で一括して取り込む。こうすると、アカウントを持つのは取り込みと確認をする人と、記録を使う人に絞れます。
- 職人一人ひとりにkintoneのアカウントを用意する
- 職人が慣れない画面を開き、日報アプリに入力する
- 入力が止まると、事務が電話で催促する
- 操作が分からない人の分は、結局事務が代わりに入力する
- 職人はスマホの簡単な画面や紙で日報を送るだけ
- 送られた日報を、決まった時刻にまとめてkintoneへ取り込む
- 事務は取り込まれた内容を確認し、おかしな所だけ直す
- アカウントは事務と、日報を集計・確認する工事部長などに絞る
入口を分けるときに失敗しやすいのは、二重入力が生まれることです。紙で受けてExcelに写し、さらにkintoneに写す、という流れになると、アカウントは減っても手間は増えます。分けるなら、次の点を最初に決めておきます。
- ・入力する項目名と選択肢を、kintoneのアプリ側とそろえる
- ・取り込む頻度(毎日の終業後、毎朝など)と担当者を決める
- ・取り込みで失敗したときに、誰が直すかを決める
- ・入口の仕組みにかかる費用と、減るアカウントの分を並べて比べる
- ・入口の仕組みに載せる情報(客先名・単価・個人名など)の範囲を決める
6. アカウントを減らすときの注意と進める時期
アカウントを外す前に、アプリの設定を確かめてください。アクセス権や通知の送り先、承認の流れの担当者を、部署やグループではなく個人の名前で設定していると、その人を外したときに通知が届かなくなったり、承認が止まったりします。外す予定の人がどこに設定されているかを洗い出し、先に部署やグループでの指定に置き換えておくと安全です。
また、アカウントの「停止」と「削除」は、契約上の数え方や、残る記録の扱いが違うことがあります。外した人が作ったレコードの作成者の表示や、過去の記録の参照がどうなるかも含め、管理画面の説明と契約内容で確かめてから手を動かします。ライセンス数を減らせる時期にも決まりがあることが多いので、契約の更新日から逆算して進めます。
- 更新の約3か月前ユーザー一覧を書き出し、最終ログインと使っているアプリを整理する
- 更新の約2か月前本人と上長に聞き取りをして4つに区分し、外す候補と入口を変える候補を決める
- 更新の約1か月半前アクセス権・通知・承認の個人指定を部署やグループの指定に置き換える
- 更新の約1か月前見るだけの人への集計表の配布、代理入力などを試し、困りごとを聞く
- 更新の前契約の決まりに沿ってアカウントを外し、契約数を見直す
7. 減らしても重いときは、しくみの形を見直す
棚卸しをしてアカウントを整理しても、月額が重いままのことがあります。その場合は、ユーザーの数ではなく、しくみの形そのものが会社の使い方に合っていない可能性があります。毎日使う人は数人なのに、見る人や報告するだけの人が大勢いる会社では、全員にアカウントを持たせる前提の形が、そもそも合っていないことがあります。
| 整理のあとに残る状態 | 次に考える対応 |
|---|---|
| 毎日入力する人が大半で、アカウントの無駄がほぼ無い | 今の契約のまま、アプリの使い勝手を整える |
| 見るだけ・たまに入力する人がまだ多い | 入力の入口を外に分け、確認と集計をする人に絞る |
| アプリ同士の連携や集計を、Excelに書き出して手作業で補っている | 業務の流れに合わせて、ひとつのしくみにまとめ直すことを検討する |
| 協力会社や外注先とのやり取りにも使っている | 社外とやり取りする部分だけを切り出し、見せる範囲を絞る |
しくみを作り直す場合、国の補助金の対象になることがあります。デジタル化・AI導入補助金(通常枠)は事務局に登録されたITツールの導入が対象で、1次締切は2026年9月29日17時で過ぎています。2次以降は未公表のため、事務局の発表を待って準備します。業務に合わせてつくるオーダーメイドのシステムは、中小企業省力化投資補助金(一般型)が対象になり、第8回は2026年9月18日に受付が始まっていて、締切は事務局の発表を確認します。どちらも交付の決定より前に契約・発注したものは対象外になるため、見直しの順番を決める段階で、使えるかどうかを確かめておきます。
8. 明日からできる最初の一歩
- ・契約の更新日と、ライセンス数を減らせる時期の決まりを確かめる
- ・管理画面からユーザー一覧を書き出し、最終ログインの日付を並べる
- ・しばらく開いていない人と退職者・異動者に印をつける
- ・印のついた人の上長に「先週何を入力したか」「何を見ているか」を聞く
- ・アプリのアクセス権・通知・承認で、個人名で指定している所を洗い出す
