東海DX伴走室
東海の地域情報

静岡市デジタル活用補助金の意見書とは|誰に頼み何を用意するか

公開  約12分で読めます
公式情報の確認日
この記事の要点
  • ✓静岡市の中小企業等デジタル活用事業補助金(上限50万円・2/3)は、デジタル分野の知見を有する者の意見書が要件です。2026年度の受付は7月3日で終了しており、次の公募を待つ形になります。
  • ✓意見書の依頼先は、導入を頼むIT事業者か、導入に利害のない社外の専門家かで性格が変わります。誰が該当するかは、その年度の募集要項で必ず確かめます。
  • ✓意見書の出来は、社内で用意する情報で決まります。今の業務の流れ、困っている作業、入れたい道具と見積、導入後の担当者を、公募が始まる前に紙1枚にまとめておきます。

静岡市の「中小企業等デジタル活用事業補助金」を調べると、申請の書類に「デジタル分野の知見を有する者の意見書」が出てきます。補助金の申請書なら自社で書けても、意見書となると「誰に頼めばいいのか」「頼んだ相手に何を渡せばいいのか」で手が止まる会社が少なくありません。この記事では、意見書がこの補助金の中でどんな役割を持つのか、依頼先をどう考えるか、依頼する前に社内で何を用意しておくかを、製造業・建設業の事務や現場の目線で整理します。

注意2026年度の受付は5月15日〜7月3日で、すでに終了しています。この記事は、次の公募に備えて今から準備を進めるための内容です。次の公募の有無・時期・要件は、静岡市の発表を待って確かめてください。

1. 静岡市デジタル活用補助金の意見書とは

まず制度の骨組みを押さえます。この補助金は、経営の効率化や生産性向上につながるデジタル活用を支える静岡市の制度です。2026年度の内容は次の表のとおりで、要件のひとつに意見書が入っています。

表1 静岡市「中小企業等デジタル活用事業補助金」の2026年度の内容
項目内容
補助の上限50万円
補助率2/3
2026年度の受付5月15日〜7月3日(終了)
使いみち経営の効率化や生産性向上につながるデジタル活用
主な要件デジタル分野の知見を有する者の意見書が必要
出典:静岡市「中小企業等デジタル活用事業補助金」

意見書は、会社が「こういうデジタル活用をしたい」と書いた計画に対して、デジタルに詳しい第三者の目から見た考えを添える書類です。会社の申請書が「やりたいこと」を書くものだとすれば、意見書は「そのやり方で、その困りごとが本当に減りそうか」を外から裏付ける役割を持ちます。市の側から見れば、デジタルに詳しくない会社が、合わない道具や過大な道具を買ってしまう事態を避けたい、という意図があると読み取れます。様式や記載項目は年度ごとの募集要項で決まるため、ここでは書いてもらう内容の典型を挙げます。

  • ・会社の今の業務で、どこに手間や間違いが出ているか
  • ・入れようとしているデジタルの道具が、その困りごとに合っているか
  • ・道具の規模や費用が、会社の規模や使い方に対して過不足がないか
  • ・導入した後、社内で使い続けられる体制があるか
  • ・導入の効果を、どの作業がどう変わったかで確かめられるか
ポイント意見書を書く人は、御社の現場を毎日見ているわけではありません。現場の事情を知らない人でも「この会社にはこの道具が合う」と書けるだけの材料を、会社の側から渡せるかどうかで、意見書の中身が決まります。

2. 2026年度は7月3日で終了|次の公募までの使い方

図1 2026年度の受付期間と、次の公募までの準備
  1. 2026年5月15日2026年度の受付開始
  2. 2026年7月3日2026年度の受付終了
  3. 2026年10月〜社内の困りごとと業務の流れを整理し、入れたい道具の候補を絞る
  4. 次の公募の発表後募集要項で意見書の様式と、誰が書けるかを確かめて依頼する
出典:静岡市「中小企業等デジタル活用事業補助金」

2026年度の受付期間は約1か月半でした。公募が始まってから意見書の依頼先を探し、社内の情報を集め、見積を取り、意見書を書いてもらい、申請書を仕上げる、という順番では、期間内に間に合わせるのはかなり厳しくなります。意見書を書く側にも都合があり、依頼が集中する時期には待たされることも考えられます。次の公募があるかどうかは市の発表を待つしかありませんが、社内の整理は公募と関係なく今から進められます。しかも、この整理は補助金を使わなかったとしても、道具選びや業者への相談にそのまま使えます。今の時期に手を付けておくと得になるのは、次の作業です。

  • ・困っている作業を現場と事務から聞き取り、紙に書き出す
  • ・その作業の今の流れ(誰が、何を見て、どこに書くか)を図にする
  • ・入れたい道具の候補を2〜3に絞り、概算の見積をもらう
  • ・導入後に誰が使い、誰が管理するかを決めておく
  • ・意見書を頼めそうな相手に、早めに声をかけておく

3. 意見書を誰に頼むか|依頼先の考え方

「デジタル分野の知見を有する者」が具体的にどんな人を指すのか、資格が要るのか、導入する事業者自身が書いてよいのかは、その年度の募集要項の定めに従います。ここを自己判断で進めると、意見書を書いてもらった後で「この人では要件を満たさない」となりかねません。そのうえで、依頼先の候補はおおむね次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

表2 意見書の依頼先の候補と、それぞれの特徴
依頼先の候補良いところ気をつけること
導入を頼む予定のIT事業者道具の中身と見積を一番よく知っている。話が早い売る側の立場なので、要項で認められるか要確認。道具ありきの意見になりやすい
導入に関わらない社外のIT専門家売り手と利害がなく、道具の選び方そのものを見てもらえる御社の業務を一から説明する必要がある。謝礼の有無と金額を事前に確かめる
すでに付き合いのある社外の支援者会社の事情を知っているので、説明が少なくて済むデジタル分野の知見がある人に当たるか、要項に照らして確かめる
出典:東海DX伴走室編集部の整理

一番手軽なのは、導入を頼む予定のIT事業者にそのまま書いてもらう形です。ただし、売る側が「この道具は御社に合う」と書く形になるため、要項で認められていても、意見書としての重みは弱くなりがちです。反対に、導入に関わらない専門家に頼むと、「この困りごとなら、もっと小さな道具で足りる」「先に紙の様式を整えたほうがよい」といった指摘が出ることがあります。手間は増えますが、補助金の有無に関係なく、買ってから後悔する事態を避けやすくなります。

注意意見書を書いてもらう前に、募集要項で「誰が書けるか」「様式は指定か自由か」「署名や押印、経歴の添付が要るか」の3点を確かめてください。分からない点は静岡市の担当窓口に問い合わせて、回答をメモに残しておくと、依頼先とのやり取りがぶれません。

頼む相手を決める目安

  • ・入れたい道具がすでに決まっている:要項で認められるなら導入事業者、認められないなら社外の専門家
  • ・何を入れるかまだ迷っている:導入に関わらない専門家に、道具選びから見てもらう
  • ・社内にデジタルに詳しい人がいない:導入後の使い方の相談にも乗ってくれる相手を選ぶ
  • ・現場の作業が複雑(工程が多い、協力会社が多いなど):現場を一度見に来てくれる相手を選ぶ

4. 依頼する前に社内で用意する情報

意見書を頼むとき、「補助金を使って○○を入れたいので、意見書をお願いします」とだけ伝えると、書く側は会社のことを一から聞き出すところから始めることになります。聞き取りに時間がかかり、出来上がった意見書も当たり障りのない内容になりがちです。依頼の前に、次の情報を社内でまとめておきます。分量はA4で2〜3枚あれば十分です。

会社と業務の今の姿

  • ・会社の概要:業種、主な製品や工事の種類、従業員数、事務所と工場・現場の場所
  • ・困っている作業の名前:受注入力、日報の集計、見積の作成、在庫の確認など
  • ・その作業の今の流れ:誰が、何を見て、どこに書き写し、誰に渡しているか
  • ・困りごとの中身:転記の手間、書き間違い、探す時間、特定の人しか分からない、など
  • ・その作業にかかっている時間:担当者に1週間ほど記録してもらった自社の実測

入れたい道具と、導入後の体制

  • ・入れたい道具の中身:何を入れて、どの作業がどう変わるのか
  • ・見積書:道具の費用、設定や作り込みの費用、月々の利用料の内訳
  • ・候補にして見送った道具と、その理由
  • ・導入後の担当者:日々使う人、困ったときに窓口になる人、管理する人
  • ・効果の確かめ方:導入前後で同じ作業の時間や手戻りを比べる方法

とくに効くのが「今の流れ」と「見送った道具とその理由」です。今の流れが図になっていれば、書く側は困りごとがどこで起きているかを一目でつかめます。見送った道具の理由が書いてあれば、会社がよく考えて選んだことが伝わり、意見書にもその判断を書き込んでもらいやすくなります。準備の前後で、意見書の依頼がどう変わるかを並べると次のようになります。

図2 社内の情報をまとめる前と後の、意見書の依頼
導入前
  • 「補助金で道具を入れたい」とだけ伝えて依頼する
  • 書く側が電話や訪問で、業務の流れを一から聞き取る
  • 困りごとが担当者ごとに違い、話がまとまらない
  • 見積が後から出てきて、意見書を書き直す
  • 締切の直前に意見書が届き、申請書との食い違いを直せない
導入後
  • A4数枚の資料を渡して依頼する
  • 書く側は資料を読み、足りない点だけを質問する
  • 困りごとが作業名と流れで整理され、話が一本化している
  • 見積と見送った道具の理由が最初からそろっている
  • 意見書と申請書の中身を、余裕をもって突き合わせられる

5. 依頼から申請までの流れ

図3 意見書の依頼から申請までの進め方
  1. 01募集要項を読む意見書を書ける人の条件、様式、添付書類、締切を確かめ、分からない点は市に問い合わせる
  2. 02社内の情報をまとめる会社の概要、困っている作業の流れ、入れたい道具と見積、導入後の担当者をA4数枚にする
  3. 03依頼先を決めて頼む要項の条件を満たすかを確かめたうえで、資料を渡し、謝礼の有無と仕上がりの日を決める
  4. 04意見書の下書きを確かめる会社の事実と違う点、申請書と食い違う点がないかを、社内の担当者が読んで伝える
  5. 05申請書と合わせて提出する申請書の課題・道具・効果の書き方を、意見書と同じ言葉にそろえてから提出する
意見書の仕上がりは、申請書の締切より余裕のある日にしておくと、食い違いを直す時間が取れます。

流れの中で抜けやすいのが、4番目の「下書きを確かめる」です。意見書は第三者が書くものですが、会社の事実と違うことが書かれていれば、申請の審査で不利になります。たとえば「全社で導入する」と書かれていても、実際は事務所の2人だけが使うのであれば、直してもらう必要があります。意見書の中身を書き換えさせるのではなく、事実の誤りだけを伝える、という線を守ってください。

6. 意見書を頼むときによくあるつまずき

製造業や建設業の会社が意見書でつまずくのは、書類の書き方よりも、社内の話がまとまっていないことが原因になる場面が多くあります。次のような状態に心当たりがあれば、依頼の前に手を打っておきます。

  • ・社長と現場で、困りごとの認識が違う:社長は見積の遅れ、現場は日報の手間、と別々の話をしている。どちらを先にやるか、社内で一本に決めてから頼む
  • ・道具だけ先に決まっている:展示会や営業で勧められた道具がまずあり、困りごととのつながりが説明できない。困りごとから逆にたどって、本当にその道具で減るかを確かめる
  • ・見積の内訳が粗い:「一式」だけの見積では、何にいくらかかるのか書く側も判断できない。道具、設定、月々の費用を分けた見積をもらう
  • ・導入後の担当者がいない:「入れれば使われる」と考えていると、使い続ける体制について意見書に書きようがない。最初に使う人と、困ったときの窓口を決めておく
  • ・締切から逆算していない:意見書を頼んだ日と締切の間が短く、下書きを確かめる時間が取れない
注意補助金は、交付の手続きより前に契約・発注・支払いをしたものが対象外になる制度が一般的です。意見書の準備と並行して道具の契約を急ぐと、補助の対象から外れるおそれがあります。契約の時期は募集要項で確かめてから決めてください。

7. 静岡市・静岡県のほかの制度との関係

静岡市には、道具の導入を支えるデジタル活用事業補助金とは別に、社員の育成を支える「中小企業DX人材等育成支援事業補助金」があります。DX・デジタル人材育成は上限10万円・補助率2/3で、社員の研修などが対象です。年度内1回までで、締切は静岡市の公式ページで確かめる必要があります。道具を入れても使える人がいなければ効果が出ないため、導入後の体制を固める手段として、こちらもあわせて調べておくと計画に厚みが出ます。また静岡県(静岡県産業振興財団)の「中小企業等収益力向上(賃上げ環境整備)事業費補助金(DX推進枠)」は上限700万円(賃金引上げの要件を満たすと1,000万円)で、2026年度は6月30日で受付が終わっています。規模の大きいシステムを考えている場合は、県の制度の次の公募も視野に入れておきます。

  • ・小さく始めたい道具の導入:静岡市のデジタル活用事業補助金の次の公募を待ち、意見書の準備を進める
  • ・社員がデジタルの道具を使いこなす研修:静岡市のDX人材等育成支援事業補助金の要件と締切を公式ページで確かめる
  • ・規模の大きいシステムの作り込み:静岡県のDX推進枠の次の公募を待ち、賃上げの計画も含めて準備する
  • ・同じ経費を複数の補助金で重ねて受けられるかは、それぞれの募集要項で確かめる

8. 今週から手を付けること

2026年度の受付は終わっていますが、意見書の準備で時間がかかるのは、依頼先探しよりも社内の整理です。次の公募が発表されてから慌てないように、担当者を1人決めて、以下の順で進めておくと、公募が始まった時点で依頼まで一気に進められます。

  • ・今週:社長・工場長や工事部長・事務の責任者で、困っている作業を3つまで挙げ、優先する1つを決める
  • ・今月中:その作業の流れを担当者に聞き取り、誰が何を見てどこに書くかを1枚の図にする
  • ・来月:担当者に1週間、その作業にかかった時間を記録してもらう
  • ・年内:入れたい道具の候補を2〜3に絞り、内訳の分かる見積をもらう
  • ・次の公募の発表後:募集要項で意見書の条件を確かめ、資料を渡して依頼する

9. よくあるご質問

Q
2026年度の静岡市デジタル活用補助金には、今から申請できますか。
A
できません。2026年度の受付は5月15日〜7月3日で、すでに終了しています。次の公募があるかどうか、時期や要件は静岡市の発表を待って確かめてください。
Q
意見書は、道具を買う予定のIT事業者に書いてもらってもよいですか。
A
誰が書けるかは、その年度の募集要項の定めによります。要項で認められていても、売る側の意見書は道具ありきの内容になりやすいため、導入に関わらない専門家に頼む選択肢も比べてください。分からない場合は市の担当窓口に確認します。
Q
意見書を頼むときに、謝礼は必要ですか。
A
依頼先によって違います。無償で引き受ける相手もいれば、費用がかかる相手もいます。依頼の最初に、謝礼の有無と金額、仕上がりの日を確かめておくと、後でもめずに済みます。
Q
社内にデジタルに詳しい人がいなくても申請できますか。
A
そのために外部の意見書がある、と考えてください。会社の側で用意するのは、困っている作業の名前と流れ、かかっている時間、入れたい道具の見積、導入後の担当者です。デジタルの専門知識より、現場の事実を正確にまとめることが求められます。
Q
補助の上限はいくらで、補助率はどれくらいですか。
A
2026年度は上限50万円、補助率2/3でした。次の公募で変わることもあるため、その年度の募集要項で確かめてください。
編集部
この記事を書いた人
東海DX伴走室編集部
東海4県の製造業・建設業のDXを支援しています。制度の内容は、公開日時点の公的機関の資料をもとにしています。
まずは30分、
無料でご相談ください
売り込みはしません。つくらないほうがよい場合は、そうお伝えします。
フォームで相談する(無料)
訪問でも、オンラインでも伺います。