AccessがOffice更新で動かない時の応急処置と古いPCを残す期限
- ✓Accessが動かない原因は、Accessが入っていない・32ビットと64ビットの違い・参照設定の欠落・マクロのブロック・接続先の変化の5つにほぼ分かれ、エラーの文面で見分けられます。
- ✓止まった日は、元のパソコンを初期化せずに原本のコピーを取り、エラー画面を記録し、紙やExcelでの代わりの回し方を決めてから直しに入ります。
- ✓古いパソコンを残すのは作り直しまでのつなぎに限り、ネットから切り離す・毎日の控え・利用者の限定・使い終える日付をあらかじめ決めておきます。
朝、事務所のパソコンを立ち上げたら、受注や在庫、出荷を管理しているAccessの画面が開かない。Officeが自動で更新された次の日や、古くなったパソコンを新しいものに入れ替えた直後に、こうした相談がよく届きます。作った人はすでに退職していて、どこを触ればよいのか誰にも分からない。出荷伝票が出せず、現場から電話が鳴り続ける。この記事では、そうなった日に事務所で何をすればよいかを、原因ごとの応急処置として書きます。あわせて、動いている古いパソコンを「捨てずに残して使い続ける」ことの危うさと、残すならいつまでにするかの決め方も扱います。
1. Officeの更新やパソコンの入れ替えでAccessが動かなくなる主な原因
Accessの業務システムは、ファイルそのものが壊れていなくても、まわりの環境が少し変わっただけで止まります。何年も同じパソコン、同じOfficeで動いてきたものほど、作った当時の環境に頼った作りになっていることが多く、入れ替えの日に一気に表に出ます。原因はおおむね次の5つに分かれ、表示されるエラーの文面や症状からある程度見分けられます。直す人に連絡するときも、どれに当たりそうかを伝えるだけで話が早くなります。
| 原因 | よく出る症状 | 起きやすいきっかけ |
|---|---|---|
| 新しいパソコンのOfficeにAccessが入っていない | ファイルを開くと別のアプリが立ち上がる、または開くアプリがないと出る | パソコンの入れ替え、Officeの契約の切り替え |
| 32ビット版と64ビット版の違い | 「このプロジェクトのコードを更新する必要があります」などのコンパイルエラー | 入れ替えで64ビット版のOfficeが入った |
| 参照設定の欠落・古い部品の未対応 | 日付の関数や文字の関数で突然エラー、カレンダーなどの部品が表示されない | Officeの更新、別のパソコンで開いた |
| マクロのブロック・セキュリティの警告 | ボタンを押しても何も起きない、画面上部に警告の帯が出る | 共有フォルダの場所が変わった、セキュリティの設定が変わった |
| データの接続先が変わった | 「ファイルが見つかりません」、表が空になる、リンクの表が開けない | サーバーやドライブの文字の変更、フォルダの移動 |
このうち、入れ替えの直後に多いのは上の2つ、更新の直後に多いのは3つ目と4つ目です。5つ目は、パソコンではなくファイルサーバーやNASを入れ替えたときに出ます。どれも、Accessのファイルが壊れたわけではないので、慌ててファイルを上書きしたり、作り直したりする前に、環境のほうを確かめるのが先です。
2. 止まった日にまずやる6つのこと
止まった日にいちばん避けたいのは、焦って原本をいじり、直せたはずのものを壊してしまうことです。設定を変えたり、Officeを入れ直したりする前に、次の順番で手を打ちます。総務や事務の責任者が段取りを決め、直す作業は作った人や保守業者に任せる、という分担にすると混乱が少なくなります。
- 01元のパソコンを残す入れ替えた古いパソコンを初期化・廃棄・返却しない。業者に引き取りを頼んでいるなら止める
- 02原本のコピーを取るAccessのファイルと、つながっているデータのファイルを丸ごと別の場所へ複製し、以後の試しはコピーで行う
- 03エラー画面を記録する出たメッセージをスマホで撮影し、どのボタンを押したら出たかを書き留める
- 04何が変わったかを並べるOfficeの更新日、パソコンを替えた日、サーバーやフォルダを動かした日を書き出す
- 05代わりの回し方を決める受注・出荷・請求のうち今日止められないものを選び、紙やExcelでの臨時の記録方法を決める
- 06直せる人に連絡する作った人、保守業者、社内で詳しい人に、記録した画面と変わったことを送る
3. 原因別の応急処置
ここからは、表の5つの原因ごとに、その日のうちに試せる手当てを書きます。どれも「元どおりに使える状態に一時的に戻す」ための処置で、根本の解決ではありません。試すのは必ずコピーしたファイルで行い、うまくいったら原本に同じ手当てをする流れにします。
Accessが入っていないとき
- ・Officeの契約の種類によってはAccessが含まれていません。まず、新しいパソコンのOfficeにAccessがあるかをスタートメニューで確かめます
- ・入力や印刷など「使うだけ」でよいなら、マイクロソフトが無償で配っている実行専用版(Access Runtime)で動く場合があります。ただし画面や表の作りを直すことはできません
- ・作りを直す人のパソコン1台だけは、Accessが入った契約にしておくと、後の手当てが社内でできます
32ビット版と64ビット版の違いでエラーが出るとき
古いAccessの業務システムには、Windowsの機能を直接呼び出すプログラムが書かれていることがあり、64ビット版のOfficeではそのままでは動きません。応急処置としては、元のパソコンと同じ32ビット版のOfficeを入れ直す方法があります。会社の契約や管理の方針で選べるかどうかを、パソコンを管理している担当者に確かめてください。プログラムを64ビット版に合わせて書き直すのが本来の直し方ですが、作った人がいないと手を付けにくいところです。
参照設定やマクロのブロックで止まるとき
- ・参照設定:プログラムの編集画面を開き、「ツール」の「参照設定」で「参照不可」と付いた項目があれば、そのチェックを外して保存すると、日付や文字の関数のエラーが消えることがあります
- ・古い部品:カレンダーなどの古い部品が新しいOfficeで使えない場合は、その部品を使う画面だけ手入力に切り替えて急場をしのぎます
- ・マクロのブロック:ファイルを置いている共有フォルダを、Accessの「信頼できる場所」に登録します。メールやネットから受け取ったファイルなら、ファイルのプロパティでブロックを解除します
- ・セキュリティの設定を会社全体で厳しくしている場合は、勝手に緩めず、管理している担当者と相談して場所を限って登録します
データの接続先が変わったとき
画面用のファイルとデータ用のファイルを分けて使っているAccessでは、データの置き場所を前のパソコンのドライブ文字やサーバー名で覚えています。新しいパソコンで同じドライブ文字に割り当て直すか、Accessの「リンクテーブルマネージャー」で新しい場所につなぎ直すと、多くはその場で戻ります。Excelのファイルとつながっている場合も、置き場所が変わっていないかを先に確かめます。
4. 古いパソコンを残して使い続ける危うさ
応急処置がうまくいかなかったとき、いちばん手っ取り早いのは「Accessが動く古いパソコンを1台だけ残しておく」ことです。実際、事務所の隅で古いパソコンが業務システム専用として動き続けている会社は少なくありません。急場をしのぐ手としては正しい判断ですが、そのまま何年も使い続けると、止まる日がもっと悪い形でやってきます。主な危うさは次のとおりです。
- ・セキュリティの修正が届かない:メーカーのサポートが終わったWindowsやOfficeは、弱点が見つかっても直されません。社内のネットワークにつながっていれば、そこが会社全体への入り口になります
- ・壊れたら同じ環境を用意できない:ハードディスクや電源が壊れたとき、同じ古いWindowsとOfficeを入れた代わりのパソコンを用意するのは年々難しくなります
- ・業務が1台に集まる:受注も出荷も請求もその1台を通るので、故障や担当者の不在がそのまま会社の停止になります
- ・控えが取られていない:専用機は誰も触らないため、データの控えが何か月も前のまま、ということがよく起きます
- ・取引先の求めに応えられない:取引先から情報の管理やセキュリティの状況を尋ねられたとき、説明に困るもとになります
特に怖いのは、古いパソコンがメールを受けたり、ネットで調べものをしたりする「ふつうのパソコン」としても使われている場合です。業務システム専用のつもりでも、空いている時間に誰かがメールを開けば、守りの弱い入り口になります。製造業の受注データや建設業の工事台帳は、取引先の情報も含んでいます。自社だけの問題で済まないことを、経営者と工場長・工事部長で共有しておく必要があります。
5. 古いパソコンを残すなら決めておく条件と期限
古いパソコンを残すこと自体を禁じる必要はありません。決めておくべきなのは、残し方と、いつまで残すかです。残す日に次の条件を紙1枚にまとめ、そのパソコンの横に貼っておくと、担当が替わっても守られやすくなります。
- ・ネットから切り離す:インターネットにはつながず、メールもネット閲覧もしない。社内の共有が必要なら、つなぐ先を業務システムのデータの置き場所だけに限る
- ・USBメモリを決める:データの出し入れに使うUSBメモリは専用の1本に決め、ほかの媒体は差さない
- ・控えを毎日取る:終業時にデータのファイルを別の場所へ複製し、取った日付を記録する。控えから開けるかを月に一度試す
- ・触る人を限る:使う人とパスワードを決め、名前を書き出しておく
- ・使い終える日を書く:「この日までに新しいしくみへ移す」という日付を書き、経営者が承認する
使い終える日をどう決めるかで迷う会社が多いので、止まった日からの目安を年表にしました。会社の規模や業務の量で前後しますが、「つなぎの期間に何をするか」を区切っておくことで、古いパソコンがいつの間にか本番機に戻るのを防げます。
- 止まった当日原本のコピー、エラーの記録、紙やExcelでの臨時の回し方を決める
- 1週間以内応急処置で動けば新しいパソコンで再開。だめなら古いパソコンをネットから切り離して専用機にする
- 1か月以内Accessで何をしているか(画面・帳票・集計・つながる先)を書き出し、作り直すか直して使うかを決める
- 3か月以内作り直しの相手と中身、予算を決める。補助金を使うなら公募の時期と交付決定の時期を確かめる
- 使い終える日新しいしくみへデータを移し、古いパソコンのデータを消去してから処分する
6. 次の入れ替えで止まらないための社内の備え
今回の応急処置で動いたとしても、次のOfficeの更新やパソコンの入れ替えで同じことが起きます。作り直しを決めるまでの間にも、社内でできる備えがあります。費用をかけずにできるのは、更新や入れ替えを「パソコン任せ・業者任せ」にしないことと、Accessがどの環境に頼っているかを紙に書いておくことです。
- Officeの更新はパソコンが自動で行い、事務所の誰も日付を把握していない
- 入れ替えの当日に古いパソコンを業者が持ち帰る
- Accessの参照設定や接続先は作った人の頭の中だけにある
- 止まってから作った人や業者を探す
- 更新は試し用の1台に先に入れ、Accessが動くのを確かめてから全台に広げる
- 新しいパソコンでAccessが動くのを確かめてから、古いパソコンを片付ける
- Officeの種類、32ビットか64ビットか、データの置き場所、参照設定を1枚の紙に書いて保管する
- 直せる人の連絡先と、臨時の記録方法を、止まる前に決めておく
この「1枚の紙」は、そのまま作り直しの相談にも使えます。どの画面で何を入力し、どの帳票を印刷し、どこのデータとつながっているかが書いてあれば、作り直す側は今の業務を短い時間でつかめます。Accessの中身を知る人が社内に残っているうちに書いておくほど、次に困らずに済みます。
- ・今週:Accessが動いているパソコンを全部書き出し、Officeの種類と32ビットか64ビットかを確かめる
- ・今月:データの控えを取る人と曜日を決め、控えから開けるかを一度試す
- ・次の入れ替えの前:試し用の1台で先に動作を確かめる段取りを、パソコンを納める業者に伝える
- ・古いパソコンを専用機にしている会社:使い終える日付を決め、経営者の承認を取る
7. 応急処置で済ませるか、作り直すかの見分け方
応急処置で動いたなら、すぐに作り直す必要があるとは限りません。直して使い続けられるAccessと、早めに作り直したほうがよいAccessの違いは、直せる人が社内にいるかどうかと、古い環境に頼っている度合いです。次の表に当てはめて、自社のAccessがどちら寄りかを見てください。
| 見るところ | 直して使える寄り | 作り直し寄り |
|---|---|---|
| 直せる人 | 社内か保守業者に中身が分かる人がいる | 作った人が退職し、誰も中を見たことがない |
| 古い環境への頼り方 | 参照設定やつなぎ先を直せば動いた | 32ビット版のOfficeや古いパソコンでしか動かない |
| 使う人数 | 1〜2人が事務所で使う | 複数の部署や現場でも入力したい |
| 止まったときの影響 | 数日は紙で回せる | 出荷・請求が止まり、取引先に迷惑がかかる |
右の列に当てはまるものが多いなら、古いパソコンでつないでいる間に、作り直しの準備を進める段階です。作り直しの進め方や、データを移す順番は、移行の記事と、外注の前に決めることを書いた記事で扱っています。この記事の「1枚の紙」と年表を手元に置いて読むと、何から手を付ければよいかが具体的になります。
