省力化投資補助金の一般型で自社専用のシステムをつくる進め方
- 省力化投資補助金(一般型)第8回の受付開始
- 公式情報の確認日
- ✓一般型は、個別の現場や事業に合わせた設備の導入やシステムの構築を補助する
- ✓補助の上限は従業員数で決まり、750万円から8,000万円(大幅な賃上げの特例で最大1億円)
- ✓申請の前に、今の業務にかかる時間を測り、省ける手間を数字にしておく
1. 一般型はどんな補助金か
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が、設備やシステムを入れて作業の手間を減らすための費用を補助する国の制度です。その中の「一般型」は、個別の現場の設備や事業の内容に合わせた設備の導入やシステムの構築を対象にしています。既製のツールを選んで入れるのではなく、自社の業務に合わせてつくるものに使えるのが大きな特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になるもの | 個別の現場の設備や事業の内容に合わせた設備の導入・システムの構築 |
| 補助の上限 | 従業員数により750万〜8,000万円(大幅な賃上げの特例で最大1億円) |
| 補助率 | 中小企業は1/2(最低賃金引き上げの特例で2/3)、小規模企業者・小規模事業者は2/3 |
| 申請に必要なもの | GビズIDプライムのアカウント |
| 2026年度の公募 | 第8回の受付が9月18日10時に始まった(締切は9月25日時点で未公表) |
kintoneやExcel、Accessを継ぎ足しながら使ってきた管理を、自社専用のひとつのシステムにまとめたい。取引先ごとに違う注文書を読み取って、生産管理に取り込むしくみをつくりたい。こうした「既製のツールでは合わない」相談は、登録されたツールだけを対象にするデジタル化・AI導入補助金では補助されません。一般型は、こうした自社に合わせたしくみづくりに使える、数少ない国の制度です。
2. 補助の上限は従業員数で決まる
一般型の補助の上限は、会社の従業員数によって5段階に分かれています。従業員5人以下なら750万円、6〜20人なら1,500万円、21〜50人なら3,000万円、51〜100人なら5,000万円、101人以上なら8,000万円です。大幅な賃上げに取り組む場合の特例を使うと、それぞれの上限が引き上げられます。
| 従業員数 | 通常の上限 | 特例を使った場合の上限 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
上限はあくまで「ここまで補助できる」額で、実際の補助の額は、対象の経費に補助率をかけて決まります。たとえば従業員15人の中小企業が、1,200万円のシステムをつくる場合、補助率1/2なら補助の額は600万円です。上限の1,500万円には届いていないため、600万円がそのまま補助の見込みになります。特例の要件は賃上げの約束を伴うため、使うかどうかは会社の賃金の計画とあわせて判断します。自社がどの区分に入るかは、従業員の数え方を公募要領で確かめたうえで判断します。上限の区分が一つ違うだけで、つくれるしくみの規模も変わってきます。
3. 一般型の対象になる「自社専用のシステム」とは
一般型の対象は、個別の現場の設備や事業の内容に合わせたものです。言い換えると、「どの会社でも同じように使える既製品を買ってくる」のではなく、「自社の業務の流れに合わせて組み立てる」ものが対象の中心になります。製造業や建設業で考えられるのは、次のようなしくみです。
- ・取引先ごとに違う注文書を読み取り、品番を置き換えて生産管理に取り込むしくみ
- ・kintone・Excel・Accessに分かれた受注・工程・在庫の管理を、一つにまとめるシステム
- ・過去の見積や図面をすぐに引き出し、見積の下書きをつくるしくみ
- ・現場からスマホで送った日報や写真が、台帳や報告書に反映されるしくみ
- ツールの機能に、業務のやり方を合わせる
- 取引先ごとの例外は、人が手で処理する
- ほかのシステムとのつなぎ込みは、ツールの機能の範囲まで
- 業務のやり方に合わせて、画面と処理を組み立てる
- 取引先ごとの例外も、しくみの中で処理する
- 今使っているシステムに合わせて、つなぎ込みをつくる
ただし、自社専用につくれば何でも対象になるわけではありません。一般型は「省力化」のための補助金なので、つくったしくみで人の作業がどれだけ減るのかを示す必要があります。見た目を新しくするだけの作り直しや、手間が減るかどうかがはっきりしない機能の追加は、計画として説明しにくくなります。
4. 進め方1:今の業務を測り、省ける手間を数字にする
一般型の準備で最初にやるのは、システムの機能を考えることではなく、今の業務にかかっている時間を測ることです。どの作業に、誰が、1日または1か月に何時間使っているのか。それがわからないと、しくみを入れたあとに何時間減るのかも示せません。
- ・対象の作業を、受け取る・打ち込む・確かめる・転記するなどの手順に分ける
- ・手順ごとに、1件あたりの時間と、1か月の件数を記録する
- ・担当者が休んだときに止まる作業や、特定の人しかできない作業を書き出す
- ・しくみを入れたあとに残る手順と、なくなる手順を分ける
時間を測るのは、長くても2週間ほどで十分です。担当者に手順ごとの時間を記録してもらい、件数の多い日と少ない日の両方を含めます。数字が出そろうと、「どの作業から手をつけると効果が大きいか」が見えてきます。効果の大きい作業から順にしくみにしていくと、計画の説明にも筋が通ります。
5. 計画に書く「省ける時間」の出し方
測った数字は、そのまま計画の根拠になります。省ける時間は、「1件あたりに減る時間」と「1か月の件数」をかけて出すのが基本です。たとえば注文書の入力なら、今の1件あたりの入力時間と、しくみを入れたあとに残る確認の時間の差が、1件あたりに減る時間です。これに1か月に届く注文書の枚数をかければ、1か月に減る時間が出ます。
| 数字 | 出し方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1件あたりに減る時間 | 今の作業時間から、しくみを入れたあとに残る時間を引く | 確かめる時間や、例外を手で直す時間を残しておく |
| 1か月の件数 | 測った期間の件数から、1か月分をならして出す | 繁忙期と閑散期の差を書き添える |
| 1か月に減る時間 | 1件あたりに減る時間×1か月の件数 | 担当者ごとではなく、会社全体で足し合わせる |
| 減った時間の使い道 | 空いた時間で何をするか | 人を減らす話ではなく、どの仕事に回すかを書く |
計画では、減った時間を何に使うのかもあわせて書いておくと、しくみを入れる目的がはっきりします。受注の処理が早くなった分を顧客への回答に回す、事務の手が空いた分を現場の書類づくりの手伝いに回す、といった形です。人手不足の中で、今いる人がより大事な仕事に時間を使えるようにする、というのが省力化の考え方に沿った書き方です。
- ・省ける時間は「1件あたりに減る時間×件数」で出す
- ・しくみを入れたあとも残る確認の時間は、差し引いておく
- ・減った時間を何に使うかまで書く
6. 進め方2:仕様を決め、見積をとる
省ける手間が見えたら、しくみに持たせる機能を決め、開発会社から見積をとります。一般型の申請では、何にいくらかかるのかを説明する必要があるため、見積の中身が具体的であるほど計画を書きやすくなります。仕様を決めるときは、次の項目を先に固めておくと、見積のぶれが小さくなります。
| 決めること | 中身の例 |
|---|---|
| しくみにする業務の範囲 | 注文書の読み取りから生産管理への登録まで、など |
| 使う人と場所 | 事務所のパソコン、現場のスマホ、協力会社も使うか |
| つなぐシステム | 今の販売管理・生産管理・会計・Excelなど |
| 人が確かめる場所 | AIや自動処理の結果を、どこで誰が確かめて登録するか |
| 使い始めたあとの手直し | 運用が始まってからの修正や保守を、誰がどう受け持つか |
見積は、開発の費用と、使い始めたあとにかかる費用を分けてもらいます。補助の対象になる経費とならない経費の区別は、公募要領で決まっています。どの項目が対象に入るかは、見積の段階で開発会社と一緒に確かめておくと、申請のときに慌てずに済みます。
7. 申請から支払いまでの流れ
一般型は電子申請で、GビズIDプライムのアカウントが必要です。事業計画をまとめて応募の申請を行い、採択されたあとに交付の申請を経て、交付の決定を受けてから発注します。補助金は、しくみができあがって実績を報告したあとに受け取る後払いです。
- 01業務を測る作業ごとの時間と件数を記録する
- 02仕様と見積しくみにする範囲を決め、見積をとる
- 03応募の申請事業計画をまとめ、電子申請する
- 04交付の決定採択のあと、交付の申請を経て決定を受ける
- 05発注・開発交付の決定のあとに契約して開発する
- 06実績の報告報告のあとに補助金を受け取る
後払いなので、開発の費用はいったん会社で支払う必要があります。先の例なら、1,200万円を支払ったあとに600万円を受け取る流れです。開発の期間と支払いの時期、補助金を受け取るまでの資金の手当ては、申請の前に金融機関と相談しておくと安心です。申請書類の作成は行政書士の業務です。
8. 第8回の公募に向けた準備
一般型の第8回の公募は、2026年9月18日10時に受付が始まりました。締切は9月25日の時点では公表されていません。締切の日程が出てから業務を測り始めると、見積や計画づくりの時間が足りなくなることがあるため、公式サイトで締切を確かめつつ、測る作業は先に始めておくのが確実です。
- 1〜2週目GビズIDプライムを申し込み、対象の作業の時間を測り始める
- 3〜4週目測った数字から、しくみにする業務の範囲を決める
- 5〜6週目開発会社と仕様を詰め、見積をとる
- 7週目以降事業計画をまとめ、行政書士と申請書類を仕上げる
補助金は審査があるため、申請すれば必ず受けられるものではありません。採択されなかった場合に、補助なしで進めるのか、次の公募を待つのか、範囲を絞って小さく始めるのかを、申請の前に決めておくと、結果が出たあとに迷わずに済みます。業務を測った数字と仕様は、どの道を選んでもそのまま使えます。
- ・採択されたら:交付の決定を待って発注する
- ・採択されなかったら:次の公募に出し直すか、範囲を絞って自社の費用で始めるかを決める
- ・どちらの場合も、測った数字と仕様は次の検討に使える
東海DX伴走室では、業務の時間の測り方の設計から、しくみの仕様づくり、開発、使い始めてからの手直しまでを一緒に進めています。今のkintoneやExcelを活かしながら、自社専用のひとつのしくみにまとめる作り直しも受け持ちます。
