静岡県のDX補助金まとめ|浜松市・静岡市の制度と申請の時期
- 公式情報の確認日
- ✓静岡県のDX推進枠は上限700万円で、賃上げの要件を満たすと1,000万円まで広がる
- ✓浜松市はAIエージェントの導入に上限500万円、静岡市はデジタル活用に上限50万円の制度がある
- ✓2026年度の募集は多くが締め切られたため、次年度の日程を見て早めに準備する
1. 静岡県内で使えるDX補助金の全体像
静岡県の中小企業がDXやデジタル化に使える補助金は、県の制度、市の制度、国の制度に分かれます。県内では、静岡県の産業振興財団が窓口の補助金に加えて、浜松市と静岡市がそれぞれ独自の制度を設けています。同じ静岡県内でも、会社のある市によって使える制度が変わるのが特徴です。2026年度に公式ページで確かめられた主な制度は次のとおりです。
| 実施 | 制度 | 上限 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 静岡県(静岡県産業振興財団) | 中小企業等収益力向上(賃上げ環境整備)事業費補助金 DX推進枠 | 700万円(賃上げの要件で1,000万円) | 1/2(賃上げの要件で2/3) |
| 浜松市 | 中小事業者等AIエージェント導入支援事業費補助金 | 500万円(下限50万円) | 1/2以内 |
| 静岡市 | 中小企業等デジタル活用事業補助金 | 50万円 | 2/3 |
| 静岡市 | 中小企業DX人材等育成支援事業補助金(DX・デジタル人材育成) | 10万円 | 2/3 |
このほかに、全国どこでも使える国の制度として、デジタル化・AI導入補助金や中小企業省力化投資補助金(一般型)があります。県や市の制度は国の制度より上限が小さいものの、対象の考え方や要件が違うため、取り組みの中身によっては県や市の制度のほうが合うこともあります。
県や市の制度は、年度ごとに予算を組んで募集されるため、同じ名前の制度でも年度によって上限や対象、募集の時期が変わることがあります。この記事の数字は、2026年9月25日に各公式ページで確かめた2026年度のものです。来年度に使うときは、必ずその年度の公募要領で確かめ直してください。とくに静岡県の制度は、県のページに前の年度の数字が残っていることがあるため、運営している財団のページを見るのが確実です。
2. 静岡県の収益力向上補助金(DX推進枠)
静岡県の中小企業等収益力向上(賃上げ環境整備)事業費補助金は、静岡県産業振興財団が運営している制度です。収益力や生産性を上げ、賃上げにつなげる取り組みを補助するもので、その中にDX推進枠があります。上限は700万円で、補助率は1/2です。賃金を3.5%以上引き上げる要件を満たすと、上限は1,000万円、補助率は2/3に広がります。
上限と補助率から逆算すると、補助率1/2の場合は事業費1,400万円で補助の額が上限の700万円に届きます。賃上げの要件を満たして補助率が2/3になる場合は、事業費1,500万円で上限の1,000万円に届きます。県内の市の制度と比べて上限が大きいため、システムの作り直しのように費用のかさむ取り組みにも使いやすい制度です。
- ・2026年度の募集は、1次が4月1日〜5月15日、2次が6月1日〜6月30日で、どちらも終わっている
- ・賃上げの要件を使うかどうかは、会社の賃金の計画とあわせて判断する
- ・補助の対象になる経費の範囲と、契約や発注をしてよい時期は、その年度の公募要領で確かめる
- ・賃上げの要件を満たせなかった場合の扱いも、申請の前に要領で確かめておく
3. 浜松市のAIエージェント導入支援補助金
浜松市の中小事業者等AIエージェント導入支援事業費補助金は、AIエージェントの導入にかかる費用を補助する制度です。ライセンスや設定の費用、既存システムとの連携のための改修といった初期の経費に加えて、導入のためのコンサルティングの経費も対象に含まれています。上限は500万円、下限は50万円で、補助率は1/2以内です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上限・下限 | 上限500万円、下限50万円 |
| 補助率 | 1/2以内 |
| 対象の経費 | AIエージェントのライセンス・設定・既存システムとの連携のための改修などの初期経費と、導入コンサルティングの経費 |
| 2026年度の三次募集 | 8月3日〜9月30日(郵送は当日消印有効・終了) |
補助率1/2で下限が50万円なので、事業費が100万円に届かない取り組みは対象になりません。反対に、事業費1,000万円で補助の額が上限の500万円に届きます。既存システムとの連携の改修まで対象に入るため、AIに注文書や問い合わせを読ませて、今の販売管理や生産管理に結果を渡すしくみのように、つなぎ込みを含む取り組みと相性のよい制度です。
4. 浜松市の制度で考えやすい「AIエージェント」の使い道
AIエージェントとは、人が指示した目的に向けて、AIが複数の手順を続けてこなすしくみを指すことが多い言葉です。たとえば、メールで届いた注文書を読み取り、品番を自社の品番に置き換え、販売管理に登録する下書きをつくるところまでを、AIがひと続きで進める形です。チャットで質問に答えるだけのAIとの違いは、業務の手順そのものを受け持つところにあります。
- ・製造業:注文書・納期変更の連絡を読み取り、生産管理に渡す下書きをつくる
- ・製造業:過去の見積や図面を探し、見積の下書きをつくる
- ・建設業:協力会社から届く安全書類を読み取り、台帳にまとめる
- ・共通:社内の問い合わせに、規程や手順書をもとに回答の下書きをつくる
どの取り組みでも、AIに最後まで任せきらず、人が確かめてから登録する工程を残しておくのが安全です。また、浜松市の制度で「AIエージェントの導入」として認められるかどうかは、市が要領にもとづいて判断します。自社で考えている取り組みが対象になるかは、申請の前に市の窓口に確かめておく必要があります。
5. 静岡市のデジタル活用補助金と、DX人材育成の補助金
静岡市には、デジタル活用の取り組みを補助する制度と、社員のDX・デジタル人材の育成を補助する制度があります。デジタル活用事業補助金は上限50万円・補助率2/3で、申請にはデジタル分野の知見を持つ人の意見書が必要です。DX人材等育成支援事業補助金は、DX・デジタル人材の育成について上限10万円・補助率2/3で、年度内に1回まで使えます。
| 項目 | デジタル活用事業補助金 | DX人材等育成支援事業補助金 |
|---|---|---|
| 対象 | 経営の効率化や生産性向上につながるデジタル活用 | 社員のDX・デジタル人材の育成(研修など) |
| 上限・補助率 | 50万円・2/3 | 10万円・2/3 |
| 要件など | デジタル分野の知見を有する者の意見書が必要 | 年度内1回まで |
| 2026年度の募集 | 5月15日〜7月3日(終了) | 9月25日時点で受付中と案内(締切の記載なし) |
デジタル活用事業補助金は上限が50万円なので、小さなツールの導入や、手始めの取り組みに向いています。補助率が2/3と高いため、事業費75万円で上限の50万円に届きます。DX人材等育成支援事業補助金は、社員の研修費を補助するもので、生成AIの研修を少人数で受けるときなどに使えます。受付の状況は変わるため、使うときは公式ページで最新の案内を確かめてください。
- ・デジタル活用事業補助金は、意見書を誰に頼めるかを要領で確かめ、早めに依頼する
- ・DX人材等育成支援事業補助金は年度内1回までなので、どの研修に使うかを決めてから申請する
- ・国の人材開発支援助成金と重ねて使えるかは、両方の窓口に確かめる
6. 2026年度の募集の時期を並べて見る
県と市の制度は、募集の時期がばらばらです。2026年度の日程を並べると、県の制度と静岡市のデジタル活用の制度は年度の前半に締め切られ、浜松市の制度は三次まで募集が続きました。来年度も同じ並びになるとは限りませんが、計画を立てるときの目安にはなります。
- 4月1日〜5月15日静岡県 DX推進枠の1次募集
- 5月15日〜7月3日静岡市 デジタル活用事業補助金の募集
- 6月1日〜6月30日静岡県 DX推進枠の2次募集
- 8月3日〜9月30日浜松市 AIエージェント導入支援補助金の三次募集
- 9月25日時点静岡市 DX人材等育成支援事業補助金は受付中と案内
年度の初めに募集が始まる制度は、年度が変わってから検討を始めると準備が間に合わないことがあります。何を入れたいのか、いくらかかるのか、どの作業がどれだけ楽になるのかを、前の年度のうちにまとめておくと、募集が始まってすぐに申請の準備に入れます。
7. 製造業・建設業での選び方
静岡県は、浜松を中心とした輸送機器や楽器の製造業、静岡・清水の食品の製造業など、地域ごとに産業の顔が違います。建設業の会社も県内に広くあります。どの制度が合うかは、業種よりも、入れたいものの中身と費用の規模で決まります。
| 取り組みの例 | 候補になる制度の目安 |
|---|---|
| 注文書や問い合わせをAIで読み取り、今のシステムに渡す(浜松市内) | 浜松市のAIエージェント導入支援補助金 |
| 業務システムの作り直しなど、費用のかさむ取り組み | 静岡県のDX推進枠、規模が大きければ国の省力化投資補助金(一般型) |
| 小さなツールの導入や、手始めの取り組み(静岡市内) | 静岡市のデジタル活用事業補助金 |
| 社員向けの生成AI研修(静岡市内) | 静岡市のDX人材等育成支援事業補助金、国の人材開発支援助成金 |
同じ経費に複数の補助金を重ねて使えるかどうかは、それぞれの要領で決まっています。県と市の制度を組み合わせるつもりで計画を立てる前に、両方の窓口に確かめておく必要があります。また、どの制度でも、いつから契約や発注をしてよいかの決まりがあるため、見積をとった段階で契約を急がないようにします。
- ・まず、会社の所在地で使える市の制度があるかを確かめる
- ・次に、事業費の規模と、県や市の制度の上限・下限を比べる
- ・規模が大きい場合や、自社に合わせてつくる場合は、国の制度も並べて考える
- ・最後に、それぞれの募集の時期と要件を確かめる
一度にすべてを補助金で賄おうとせず、段階を分ける考え方もあります。最初は市の制度で小さな範囲を試し、効果が見えたら、次の年度に県や国の制度で範囲を広げる形です。小さく試した結果は、次の申請で「どの作業がどれだけ減ったか」を示す材料にもなります。段階ごとに合う制度を選ぶほうが、上限にも募集の時期にも合わせやすくなります。
8. 来年度に向けて、今のうちに済ませておくこと
2026年度の県と市の制度の多くは締め切られましたが、来年度も同じような制度が設けられるかどうかは、それぞれの公式ページで確かめる必要があります。制度が続く場合に備えて、今のうちにできる準備があります。
- ・今の業務にかかっている時間を、作業ごとに2週間ほど記録する
- ・入れたいものの見積を、項目ごとに分けてとっておく
- ・静岡市のデジタル活用の制度を考えるなら、意見書を頼める相手を探しておく
- ・国の制度も候補にするなら、GビズIDプライムを取っておく
業務の時間の記録と見積は、どの制度に申請する場合にも使えます。申請書類の作成は行政書士の業務です。東海DX伴走室では、浜松・静岡を含む静岡県内の会社の業務システムの作り直しやAIの組み込みを、入れるものの見きわめから一緒に進めています。
