東海DX伴走室
東海の地域情報

三重県のDX補助金と、県の無料の専門家支援を使うときの流れ

公開  約11分で読めます
公式情報の確認日
この記事の要点
  • ✓三重県の生産性向上・業態転換支援補助金は補助率1/2、賃上げコース200万円・一般コース100万円が上限
  • ✓みえDX・AIトライアルサポートは補助金ではなく、専門家が無料で月2回伴走する支援
  • ✓2026年度はどちらも募集を終えたため、次年度に向けて課題と数字を先にまとめておく

1. 三重県のDXの支援は「補助金」と「専門家の伴走」の2種類

三重県の中小企業がDXやデジタル化に取り組むときに使える県の支援には、性質の違う2つのものがあります。1つは、設備やシステムの費用の一部を補助する補助金です。もう1つは、お金ではなく、DXやAIの専門家が一定の期間、会社に伴走して進め方を一緒に考える支援です。三重県はこの伴走の支援を「みえDX・AIトライアルサポート」として無料で行っています。

表1 三重県のDXに関わる主な支援(2026年度)
支援中身費用・補助2026年度の募集
生産性向上・業態転換支援補助金生産性の向上や業態転換の取り組みへの補助補助率1/2以内・上限は賃上げコース200万円、一般コース100万円第3期は8月18日〜9月10日(終了)
みえDX・AIトライアルサポートDX・AIの専門家による伴走の支援参加費は無料(ツールの導入費は自社負担)9月1日締切(終了)
出典:三重県「生産性向上・業態転換支援補助金」「みえDX・AIトライアルサポート」公式ページ(2026年9月25日確認)

補助金は「何を入れるかが決まっている」会社に向いた支援で、専門家の伴走は「何から手をつければよいかがまだ見えていない」会社に向いた支援です。自社がどちらの段階にいるかで、先に使うべき支援が変わります。どちらも県の予算で行われる取り組みなので、募集の期間や枠には限りがあります。そして、専門家の伴走で課題と計画を固めたあとに、補助金や国の制度を使って実際にツールやシステムを入れる、という順番でつなげることもできます。

ポイント「DXを進めたいが、何から始めればよいかわからない」段階なら、先に専門家の伴走を使って課題を言葉にし、そのあとで補助金を考えるほうが、的外れな投資を避けられます。

2. 生産性向上・業態転換支援補助金

三重県の「エネルギー価格等高騰対応 生産性向上・業態転換支援補助金」は、生産性の向上や業態転換に取り組む中小企業の費用を補助する制度です。補助率は1/2以内で、上限は賃上げコースが200万円、一般コースが100万円です。デジタルツールやシステムの導入による生産性の向上も、取り組みの候補になり得ます。どの経費が対象に入るかは、その期の公募要領で確かめます。

図1 三重県 生産性向上・業態転換支援補助金の上限(コースごと)
一般コース
100万円
賃上げコース
200万円
※補助率はどちらも1/2以内。
出典:三重県「生産性向上・業態転換支援補助金」公式ページ(2026年9月25日確認)

上限と補助率から逆算すると、一般コースなら事業費200万円、賃上げコースなら事業費400万円で、補助の額がちょうど上限に届きます。これより大きな事業費になると、上限を超えた分はすべて会社の負担です。数百万円規模のシステムの導入なら、この補助金の範囲に収まりやすい一方、業務システムの本格的な作り直しのように費用がかさむ取り組みは、上限の大きい国の制度もあわせて考えることになります。

この補助金は2026年度、期を分けて募集されました。ひとつの期の締切を逃しても、次の期が設けられることがある一方で、第3期のあとに募集が続くかどうかは公表を待つしかありません。使うつもりがあるなら、期の区切りに振り回されないよう、入れたいものの見積と、今の業務にかかっている時間の記録を先にそろえておくと、募集が出たときにすぐ申請の準備に入れます。

  • ・2026年度は期を分けて募集され、第3期は8月18日から9月10日までで終わっている
  • ・賃上げコースを選ぶかどうかは、会社の賃金の計画とあわせて判断する
  • ・次の募集の有無と日程は、三重県の公式ページで確かめる

3. みえDX・AIトライアルサポートとは

みえDX・AIトライアルサポートは、DXやAIの専門家が、会社の現状の把握から計画づくり、デジタルツールの活用と定着までを伴走して支援する、三重県の取り組みです。参加費は無料です。ただし、補助金ではないため、伴走の中で入れることになったツールの費用は会社の負担になります。2026年度は、期間と進め方の違う2つのコースが用意されていました。

表2 みえDX・AIトライアルサポートの2つのコース(2026年度)
項目短期実装支援コース業務変革支援コース
向いている会社生成AIやデジタル活用を、コンパクトに始めたい会社業務全体を見直し、継続的な変革や定着を進めたい会社
期間3か月5か月
伴走の頻度月2回月2回
募集の社数5社10社
参加費無料無料
出典:三重県「みえDX・AIトライアルサポート」公式ページ(2026年9月25日確認)

月2回の伴走なので、短期実装支援コースなら3か月で6回ほど、業務変革支援コースなら5か月で10回ほど、専門家と打ち合わせる計算になります。社数が限られているため、申し込めば必ず参加できるものではありません。短期実装支援コースは5社、業務変革支援コースは10社と枠が小さいため、次年度に申し込むなら、なぜ自社が伴走を必要としているのか、どの業務を変えたいのかを、申込の時点で具体的に書けるようにしておくと安心です。2026年度の申込は9月1日で締め切られています。

注意2026年度の申込は9月1日で終わりました。次年度に同じ取り組みが行われるかどうか、募集の時期や社数は、三重県の公式ページで確かめてください。

4. 専門家の伴走は、4つのステップで進む

みえDX・AIトライアルサポートの伴走は、現状の可視化から効果の測定までの4つのステップで進みます。いきなりツールを入れるのではなく、まず今の業務を見える形にしてから計画を立てる順番になっているのが特徴です。

図2 みえDX・AIトライアルサポートの伴走の流れ
  1. 01現状の可視化今の業務の流れと、手間のかかっている作業を見える形にする
  2. 02計画書の作成どの業務に、何を使って、どう変えるかを計画にまとめる
  3. 03ツールの導入支援計画にもとづいて、デジタルツールの導入と活用を支える
  4. 04効果の測定入れたあとに、業務がどう変わったかを確かめる
伴走は月2回。ツールの導入費は自社の負担です。

この4つのステップは、補助金の申請で求められる中身とも重なります。現状の可視化は「今の課題」に、計画書は「何を入れてどう変わるか」に、効果の測定は「入れたあとの成果」にあたります。伴走を通じてまとめた資料は、あとで補助金に申請するときの土台として使えます。

5. 専門家の伴走を使いこなすための準備

月2回の伴走は、限られた回数です。専門家との打ち合わせのたびに一から説明していては、あっという間に期間が終わってしまいます。申し込む前に、社内で次のことをまとめておくと、最初の打ち合わせから中身のある話ができます。

  • ・手間がかかっていると感じる作業と、その作業に使っている時間
  • ・その作業に関わっている人と、使っている道具(紙・Excel・システムなど)
  • ・会社として、DXで何を実現したいか(人手不足の解消、ミスの削減など)
  • ・伴走の打ち合わせに毎回出られる社内の担当者
図3 伴走の使い方の違い
導入前
  • 打ち合わせのたびに、専門家に会社の説明から始める
  • 社内の担当者が決まらず、次の回までに何も進まない
  • ツールを入れることが目的になり、効果を測らない
導入後
  • 申し込む前に、手間のかかる作業と時間をまとめておく
  • 毎回出る担当者を決め、回と回の間に社内で試す
  • 入れる前の作業時間を記録し、入れたあとと比べる

とくに、社内の担当者を決めておくことは欠かせません。専門家は月2回しか来ないため、その間に社内でツールを試し、次の回に結果を持ち寄る流れがつくれるかどうかで、伴走の成果が大きく変わります。担当者が本来の仕事で手一杯なら、伴走の期間だけでも時間を空けられるよう、仕事の割り振りを見直しておきます。

6. 製造業・建設業で、伴走のテーマになりやすい業務

三重県は、北勢地域の自動車関連や化学の製造業から、伊賀の焼き物まで、地域ごとに産業の顔が違います。建設業の会社も県内に広くあります。業種によって手間のかかる業務は違いますが、専門家の伴走のテーマとして扱いやすいのは、毎日くり返され、時間を測りやすい業務です。

表3 伴走のテーマになりやすい業務の例
業種業務の例伴走で整理すること
製造業取引先から届く注文書の入力取引先ごとの書式の違い、1件あたりの入力時間
製造業過去の見積や図面を探して見積をつくる作業探す時間、見積の作り方が人によって違う点
建設業現場の日報や写真の整理と報告書づくり現場から事務所への情報の流れ、転記の回数
建設業協力会社から集める安全書類の作成同じ内容を書き写している箇所
共通生成AIを社内で使うためのルールづくり入力してよい情報と、入力してはいけない情報
出典:東海DX伴走室編集部の整理

短期実装支援コースのように期間が3か月と短い場合は、テーマを1つに絞ったほうが成果が残りやすくなります。業務変革支援コースのように5か月かけられる場合は、複数の業務をまとめて見直し、どの順番でしくみにしていくかの計画までつくる、という使い方ができます。

  • ・3か月の伴走:テーマを1つに絞り、試して効果を測るところまで進める
  • ・5か月の伴走:複数の業務を見直し、しくみにしていく順番まで決める
  • ・どちらの場合も、入れる前の作業時間を記録しておく

7. 伴走のあとに、補助金や国の制度へつなぐ

専門家の伴走で計画が固まったら、次は実際にツールやシステムを入れる段階です。ここで補助金を使えます。入れたいものの規模と中身によって、県の補助金か、国の制度かを選びます。

表4 伴走のあとに候補になる主な補助金
入れたいもの候補になる制度上限と補助率
数百万円規模のツールや設備の導入三重県 生産性向上・業態転換支援補助金賃上げコース200万円・一般コース100万円、1/2以内
事務局に登録された既製のツール国 デジタル化・AI導入補助金(通常枠)業務プロセスの数により5万〜450万円、1/2以内
自社の業務に合わせてつくるシステム国 中小企業省力化投資補助金(一般型)従業員数により750万〜8,000万円、中小企業は1/2
出典:三重県「生産性向上・業態転換支援補助金」、中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026」「中小企業省力化投資補助金(一般型)」公式ページ(2026年9月25日確認)

国の制度は、県の制度より上限が大きい一方で、登録されたツールに限られたり、事業計画の作り込みが求められたりします。国の制度の電子申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要なので、使う可能性があるなら先に取得しておきます。どの制度でも、交付の決定や契約の時期についての決まりがあるため、見積をとった段階で契約を急がないようにします。

ポイント伴走で作った計画書と、入れる前後の作業時間の記録は、補助金の申請で「今の課題」と「入れたあとの効果」を示す材料になります。伴走が終わっても捨てずに残しておきます。

8. 2026年度の日程と、来年度に向けた準備

図4 2026年度の募集の時期(三重県と国の制度)
  1. 8月18日〜9月10日三重県 生産性向上・業態転換支援補助金の第3期の募集
  2. 9月1日みえDX・AIトライアルサポートの申込締切
  3. 9月18日国 省力化投資補助金(一般型)第8回の受付開始
  4. 9月29日国 デジタル化・AI導入補助金 通常枠の1次締切
出典:三重県、中小企業基盤整備機構の各公式ページ(2026年9月25日確認)

2026年度の県の補助金と専門家の伴走は、どちらも募集を終えています。来年度も同じ取り組みが行われるかどうかは、三重県の公式ページで確かめる必要があります。制度が続く場合に備えて、今のうちに手間のかかる作業と時間を記録し、社内の担当者を決めておけば、募集が始まったときにすぐ申し込めます。

  • ・手間のかかる作業を書き出し、2週間ほど作業時間を記録する
  • ・伴走の打ち合わせに出る社内の担当者を決める
  • ・国の制度も候補にするなら、GビズIDプライムを取っておく
  • ・三重県の公式ページで、次年度の補助金と伴走の募集を確かめる

専門家の伴走に選ばれなかった場合や、募集の時期が合わない場合でも、同じ準備はそのまま役に立ちます。記録した作業時間と課題の書き出しがあれば、補助金の申請にも、社外の支援会社に相談するときにも、話が早く進みます。申請書類の作成は行政書士の業務です。東海DX伴走室では、三重県内の会社の業務のしくみづくりを、何から手をつけるかの整理から一緒に進めています。

9. よくあるご質問

Q
みえDX・AIトライアルサポートは補助金ですか?
A
補助金ではありません。DX・AIの専門家が月2回伴走する支援で、参加費は無料です。ツールの導入費は自社の負担です。
Q
三重県の補助金は今から申請できますか?
A
2026年度の生産性向上・業態転換支援補助金の第3期は、8月18日から9月10日までで終わっています。次の募集の有無は三重県の公式ページで確かめてください。
Q
専門家の伴走と補助金は、どちらを先に使えばよいですか?
A
何から手をつけるかが見えていない段階なら、専門家の伴走で課題と計画を固めてから、補助金で実際の導入を進める順番が合っています。
編集部
この記事を書いた人
東海DX伴走室編集部
東海4県の製造業・建設業のDXを支援しています。制度の内容は、公開日時点の公的機関の資料をもとにしています。
まずは30分、
無料でご相談ください
売り込みはしません。つくらないほうがよい場合は、そうお伝えします。
フォームで相談する(無料)
訪問でも、オンラインでも伺います。