デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠でできること・できないこと
- 公式情報の確認日
- ✓通常枠は、事務局に登録されたソフトウェアやクラウドサービスを入れるための補助金
- ✓補助の額は業務プロセスの数で決まり、1〜3なら5万〜150万円、4以上なら150万〜450万円
- ✓自社専用にゼロからつくるシステムは対象外。その場合は省力化投資補助金などを考える
1. 通常枠はどんな補助金か
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務の効率化のためにソフトウェアやクラウドサービスを入れるときの費用を補助する国の制度です。いくつかの枠がありますが、販売管理や生産管理、勤怠、会計といった一般的な業務のツールを入れるときに使うのが「通常枠」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になるもの | 事務局に登録されたITツール(ソフトウェア・クラウドサービス) |
| 補助の額 | 業務プロセス1〜3:5万〜150万円/4以上:150万〜450万円 |
| 補助率 | 1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内) |
| 申請の前に必要なこと | GビズIDプライムの取得とSECURITY ACTIONの宣言 |
この補助金のいちばんの特徴は、補助の対象が「事務局に登録されたツール」に限られていることです。どんなソフトウェアでも補助されるわけではなく、ツールを販売する会社(IT導入支援事業者)が事前に事務局へ登録し、審査を通ったものだけが対象になります。申請も、そのIT導入支援事業者と一緒に進める形です。使いたいツールが登録されているかどうかは、公式サイトのITツール検索で確かめられます。
2. 補助の額は業務プロセスの数で決まる
通常枠の補助の額は、入れるツールが受け持つ「業務プロセス」の数で上限が変わります。業務プロセスとは、ツールが受け持つ業務のまとまりのことで、ツールごとに、どのプロセスを受け持つかが登録されています。1〜3つのプロセスを受け持つツールなら補助の額は5万円以上150万円未満、4つ以上なら150万円以上450万円以下です。
たとえば、受け持つプロセスが3つのツールを200万円で入れる場合、補助率1/2なら補助の額は100万円で、会社の負担も100万円です。同じツールに4つ目のプロセスを受け持つ機能を加えて費用が300万円になると、補助の額は150万円になります。ただし、プロセスの数を増やすために使わない機能まで足すのは、補助の額が増えても会社の負担も増えるため、筋のよいやり方ではありません。
- ・補助の額=対象の経費×補助率(上限はプロセスの数で決まる)
- ・どのプロセスを受け持つかは、ツールごとに登録されている
- ・補助金は導入して報告したあとに受け取る後払い
3. 通常枠でできること(補助の対象になる経費)
通常枠で補助の対象になるのは、ソフトウェアそのものの費用だけではありません。ソフトウェアを入れて使えるようにするまでの費用や、入れたあとの活用の支援も、登録されたものであれば対象に含まれます。ソフトウェアは必ず含める必要があり、そのうえで次のような経費を加えられます。
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| ソフトウェア(必須) | ソフトウェアの購入費、クラウドサービスの利用料(最大2年分) |
| 機能の追加 | 機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ |
| 導入の支援 | 導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル設定・導入研修 |
| 導入後の支え | 保守サポート |
クラウドサービスの利用料は最大2年分まで対象になります。毎月の利用料がかかるクラウド型の生産管理や工事管理のツールでも、はじめの2年分は補助の対象に入れられるということです。3年目以降の利用料は会社の負担になるため、補助が終わったあとも払い続けられる金額かどうかを、導入の前に確かめておく必要があります。
見積を受け取ったら、どの項目が補助の対象で、どの項目が対象外かを販売会社に確かめます。ツールの本体と、導入設定や研修、保守が一つの金額にまとめられていると、あとで対象の範囲がわからなくなります。項目ごとに分けた見積をもらっておけば、会社の負担がいくらになるかも計算しやすくなります。
- ・ソフトウェア本体と、導入設定・研修・保守が分けて書かれているか
- ・クラウドの利用料が何年分含まれているか(対象は最大2年分)
- ・3年目以降にかかる毎月の費用はいくらか
4. 通常枠でできないこと
一方で、通常枠では対象にならないものもあります。まず、事務局に登録されていないツールは対象外です。自社の業務に合わせてゼロからつくるシステムは、登録されたツールではないため、この補助金では補助されません。また、どの業務にも使える汎用的な機能だけのソフトウェアは、単体では申請できません。業務プロセスを1つ以上受け持つソフトウェアを申請する決まりになっています。
- 自社の業務に合わせてゼロからつくるシステム
- 事務局に登録されていないツール
- 汎用的な機能だけのソフトウェアを単体で入れる
- 交付の決定より前に契約・支払いをしたもの
- 事務局に登録された販売管理・生産管理・会計などのツール
- 業務プロセスを1つ以上受け持つソフトウェア
- ソフトウェアとあわせて入れる導入設定・研修・保守
- 交付の決定のあとに契約・支払いをしたもの
製造業や建設業でよくあるのが、「今のExcelやkintoneの管理を、自社のやり方に合わせたシステムにまとめたい」という相談です。このような自社専用のシステムは通常枠の対象にならないため、中小企業省力化投資補助金(一般型)のように、個別の業務に合わせたシステムの構築を対象にする制度を考えることになります。既製のツールで業務が回るのか、自社に合わせてつくる必要があるのかで、使う制度が分かれます。
5. 製造業・建設業で通常枠が合う場面、合わない場面
同じ「業務のデジタル化」でも、通常枠が合うかどうかは、業務のやり方がどのくらい一般的かで変わります。勤怠や経費精算、会計のように、どの会社でも流れがほぼ同じ業務は、登録された既製のツールがそのまま使えることが多く、通常枠と相性のよい分野です。一方、取引先ごとに違う注文書の書式や、現場ごとに違う安全書類の流れのように、会社ごとの事情が強く出る業務は、既製のツールに合わせると現場のやり方を大きく変える必要が出てきます。
| 業務 | 通常枠との相性 | 理由 |
|---|---|---|
| 勤怠・経費精算・会計 | 合いやすい | 業務の流れが会社ごとに大きく変わらず、既製のツールが多い |
| 現場の日報・写真の管理 | 合う場合がある | 既製のツールで足りるかは、帳票の決まりによる |
| 取引先ごとに書式が違う注文書の入力 | 合いにくい | 品番の置き換えなど、会社ごとの対応が多い |
| 長年のExcel・kintoneの管理の置き換え | 合いにくい | 自社のやり方に合わせた作り込みが要る |
既製のツールを入れる場合でも、今の業務をそのまま置き換えられるとは限りません。ツールに合わせて帳票の形や承認の流れを変える必要があるなら、その手間も含めて考えます。変える範囲が小さく、現場が受け入れられるなら既製のツールと通常枠、変える範囲が大きいなら自社に合わせたしくみ、という判断が目安になります。
- ・今の業務の流れを、ツールに合わせてどこまで変えられるか
- ・他のシステムやExcelとのつなぎ込みが、ツールの機能で足りるか
- ・補助が終わったあとの利用料を払い続けられるか
6. 申請の前に必要な準備
申請には、事前にそろえておくものがあります。1つめはGビズIDプライムのアカウントです。国の補助金の電子申請に使うIDで、取得までにおおむね2週間かかります。2つめは、情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」の宣言です。一つ星か二つ星の宣言が要件で、宣言済みのIDが発行されるまでにおおむね2〜3日かかります。公募の締切が近づいてから取りかかると間に合わないことがあるため、使うかどうか迷っている段階でも、先に済ませておいて損はありません。
- 01GビズIDプライムを取る取得までにおおむね2週間
- 02SECURITY ACTIONを宣言する一つ星か二つ星。IDの発行まで2〜3日
- 03ツールと販売会社を選ぶ登録されたツールとIT導入支援事業者を決める
- 04交付申請IT導入支援事業者と一緒に申請する
- 05交付決定のあとに導入契約・支払い・導入のあと、実績を報告する
申請の書類づくりでは、IT導入支援事業者が入力の多くを受け持ちますが、自社の業務の課題や、ツールを入れて何を減らすのかは会社側が考える部分です。導入したあとの報告の決まりも、公募要領で確かめておきます。販売会社任せにせず、どの作業に何時間かかっていて、ツールでどう変わるのかを、社内で言葉にしておくと申請の中身がぶれません。
7. 2026年度の公募の時期と、次の公募への備え方
2026年度の通常枠は、1次の締切が9月29日17時でした。2次以降の公募の日程は、9月25日の時点では公表されていません。この記事を読んでいる時点では1次の締切は過ぎているため、次の公募がいつ始まるかを公式サイトで確かめる必要があります。
- ・公式サイトのお知らせで、次の公募の日程を確かめる
- ・GビズIDプライムとSECURITY ACTIONは、公募の前に済ませておく
- ・入れたいツールが登録されているかを、ITツール検索で確かめる
- ・既製のツールで足りない業務は、ほかの制度も候補に入れる
公募の日程が出てから準備を始めると、ツールの比較や社内の調整に使える時間が短くなります。どの業務の手間を減らしたいのか、今どのくらいの時間がかかっているのかを先にまとめておけば、公募が始まったときにすぐ動けます。
東海4県では、県や市が独自のDX補助金を出している年度もあります。国の補助金と地域の補助金は、募集の時期も対象の範囲も別々に決まっているため、両方の公募の予定を並べて見ておくと、どちらの時期に合わせて準備するかを決めやすくなります。同じ経費に重ねて使えるかどうかは、それぞれの公募要領で確かめます。
8. 既製のツールで足りるか、自社に合わせてつくるか
どの補助金を使うかは、入れたいものが既製のツールか、自社に合わせてつくるシステムかで決まります。取引先の書式が限られていて、今の販売管理に取り込む口が用意されているなら、既製のツールで十分なこともあります。反対に、取引先ごとに違う品番の置き換えや、現場ごとに違う書類の流れをしくみに入れたい場合は、自社に合わせてつくるほうが合っています。
| 入れたいもの | 使う制度 | 補助の額と補助率 |
|---|---|---|
| 事務局に登録された既製のツール | デジタル化・AI導入補助金(通常枠) | 5万〜450万円・1/2以内 |
| 自社の業務に合わせてつくるシステム | 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 従業員数により750万〜8,000万円・中小企業は1/2 |
東海DX伴走室では、注文書や請求書の読み取り、今のシステムへのつなぎ込みなど、既製のツールでは届きにくい部分を自社に合わせてつくる支援をしています。既製のツールで足りるかどうかの見きわめから一緒に考えます。補助金の申請書類の作成は行政書士の業務です。
