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愛知県・名古屋市のDX補助金の選び方|県と市と国の制度の使い分け

公開  約11分で読めます
公式情報の確認日
この記事の要点
  • ✓愛知県の制度は上限200万円、名古屋市の制度は通常枠100万円・ロボット枠500万円
  • ✓県はあいち産業DX推進コンソーシアムへの加入、名古屋市は事前相談が申請の要件
  • ✓2026年度の県と市の募集は締切を過ぎたため、次年度の公募に向けて先に要件を満たしておく

1. 愛知県で使えるDX補助金は、県・市・国の3つ

愛知県の中小企業がDXやデジタル化に使える補助金は、大きく分けて3つの層があります。愛知県が出している制度、名古屋市が出している制度、そして全国どこでも使える国の制度です。それぞれ募集の時期も、上限の額も、申請の前に済ませておく要件も違います。どれか一つだけを見て判断すると、自社に合う制度を見落としたり、要件を満たす準備が間に合わなかったりします。

表1 愛知県の中小企業が候補にできる主なDX補助金(2026年度)
実施制度上限補助率
愛知県中小企業デジタル化・DX促進補助金200万円1/2以内(小規模企業者は2/3以内)
名古屋市中小企業デジタル活用支援補助金通常枠100万円・賃上げ枠150万円・ロボット枠500万円1/2
国デジタル化・AI導入補助金(通常枠)業務プロセスの数により150万円・450万円1/2以内
国中小企業省力化投資補助金(一般型)従業員数により750万〜8,000万円中小企業は1/2
出典:愛知県「中小企業デジタル化・DX促進補助金」、名古屋市・名古屋産業振興公社「中小企業デジタル活用支援補助金」、中小企業基盤整備機構の各公式ページ(2026年9月25日確認)

県や市の制度は、国の制度に比べると上限は小さいものの、対象の範囲が広く、コンサルティングや既存システムの改修まで含められるものがあります。国の制度は上限が大きい代わりに、対象のツールが登録制だったり、事業計画の作り込みが求められたりします。入れたいものの規模と中身で、どの層の制度が合うかが変わります。この記事では、2026年度に公式ページで確かめた県と市の制度を中心に、国の制度とあわせた選び方と、来年度に向けて今のうちにできる準備を整理します。

ポイント名古屋市内の会社は、市の制度と県の制度の両方が候補になり得ます。県の制度の対象になるかどうかは、県の公募要領で確かめてください。

2. 愛知県の中小企業デジタル化・DX促進補助金

愛知県の中小企業デジタル化・DX促進補助金は、デジタルツールの導入だけでなく、コンサルティングや、システムの構築・既存システムの改修も対象にしている制度です。上限は200万円で、補助率は1/2以内、小規模企業者は2/3以内です。既製のツールを入れるだけでなく、今あるシステムを手直ししたい場合にも使えるのが特徴です。

表2 愛知県 中小企業デジタル化・DX促進補助金の内容(2026年度)
項目内容
上限200万円
補助率1/2以内(小規模企業者は2/3以内)
対象デジタルツールの導入、コンサルティング、システムの構築・既存システムの改修
要件あいち産業DX推進コンソーシアムへの加入
2026年度の募集3月6日〜5月12日(終了)
出典:愛知県「中小企業デジタル化・DX促進補助金」公式ページ(2026年9月25日確認)

この制度で見落としやすいのが、あいち産業DX推進コンソーシアムへの加入が要件になっている点です。募集が始まってから加入の手続きをすると、申請の準備と重なって慌ただしくなります。来年度もこの制度を使うつもりがあるなら、加入の手続きを先に済ませておくと、募集が始まったときに申請の中身づくりに集中できます。

上限と補助率から、会社の負担を計算しておくと判断しやすくなります。補助率1/2の会社なら、事業費400万円で補助の額がちょうど上限の200万円に届きます。小規模企業者で補助率が2/3の場合は、事業費300万円で上限の200万円に届きます。これより大きな事業費になると、上限を超えた分はすべて会社の負担です。

図1 愛知県の制度で、補助の額が上限の200万円に届く事業費
補助率1/2の場合
400万円
補助率2/3の場合(小規模企業者)
300万円
※事業費がこの額を超えると、超えた分は会社の負担になります。
出典:愛知県「中小企業デジタル化・DX促進補助金」公式ページの上限と補助率から計算(2026年9月25日確認)
  • ・2026年度の募集は3月6日から5月12日までで、すでに終わっている
  • ・年度の初めに募集が始まり、2か月ほどで締め切られた
  • ・来年度の日程は、県の公式ページで確かめる

3. 名古屋市の中小企業デジタル活用支援補助金

名古屋市の中小企業デジタル活用支援補助金は、名古屋産業振興公社が窓口になっている制度です。デジタル技術の導入で生産性を上げる取り組みを対象にしており、通常枠・賃上げ枠・ロボット枠の3つの枠があります。補助率はどの枠も1/2です。通常枠には10万円の下限も設けられているため、ごく小さな取り組みは対象になりません。

図2 名古屋市 中小企業デジタル活用支援補助金の上限(枠ごと)
通常枠
100万円
賃上げ枠
150万円
ロボット枠
500万円
※補助率はどの枠も1/2。通常枠の下限は10万円。
出典:名古屋市・名古屋産業振興公社「中小企業デジタル活用支援補助金」公式ページ(2026年9月25日確認)

この制度では、申請の前に事前の相談を受けることが要件になっています。相談先は名古屋市新事業支援センターか名古屋商工会議所で、ロボット枠だけは名古屋市新事業支援センターでの相談が必須です。相談を受けずに申請書類だけを整えても、要件を満たしていないことになるため、日程を組むときは相談の予約から逆算します。

表3 名古屋市の制度の枠ごとの違い(2026年度)
枠上限事前相談の窓口2026年度の締切
通常枠100万円(下限10万円)名古屋市新事業支援センターか名古屋商工会議所6月1日(終了)
賃上げ枠150万円名古屋市新事業支援センターか名古屋商工会議所6月1日(終了)
ロボット枠500万円名古屋市新事業支援センター(必須)9月30日16時必着(終了)
出典:名古屋市・名古屋産業振興公社「中小企業デジタル活用支援補助金」公式ページ(2026年9月25日確認)
注意2026年度の募集は、通常枠と賃上げ枠が6月1日、ロボット枠が9月30日16時必着で締め切られました。次年度の公募の有無と日程は、名古屋産業振興公社の公式ページで確かめてください。

4. 2026年度の募集の時期を並べて見る

県と市と国の制度は、それぞれ別々の時期に募集されます。2026年度の日程を並べてみると、県と市の制度は年度の前半に締め切られ、国の制度は秋にも公募があったことがわかります。来年度の計画を立てるときは、この並びを目安にしておくと、どの時期に何を準備すればよいかが見えやすくなります。

図3 2026年度の募集の時期(愛知県・名古屋市・国)
  1. 3月6日愛知県 中小企業デジタル化・DX促進補助金の募集開始
  2. 4月15日名古屋市 中小企業デジタル活用支援補助金の募集開始
  3. 5月12日愛知県の制度の募集終了
  4. 6月1日名古屋市の制度の通常枠・賃上げ枠の締切
  5. 9月18日国 省力化投資補助金(一般型)第8回の受付開始
  6. 9月29日国 デジタル化・AI導入補助金 通常枠の1次締切
  7. 9月30日名古屋市の制度のロボット枠の締切
出典:愛知県、名古屋市・名古屋産業振興公社、中小企業基盤整備機構の各公式ページ(2026年9月25日確認)

県と市の制度は、年度の初めに募集が始まり、数か月で締め切られる形でした。年度が変わってから検討を始めると、要件の手続きや見積の準備が間に合わないことがあります。前の年度のうちに、何を入れたいのか、いくらかかるのかをまとめておくのが確実です。

5. 選び方は、入れたいものの規模と中身で決める

どの制度を使うかは、入れたいものの規模と中身で決まります。数十万円から数百万円のツールの導入や既存システムの改修なら、県や市の制度が合います。登録された既製のツールを入れるなら、国のデジタル化・AI導入補助金も候補です。自社の業務に合わせたシステムを本格的につくるなら、上限の大きい国の省力化投資補助金(一般型)が候補になります。

図4 制度を選ぶときの考え方
  1. 01入れたいものを決める既製のツールか、改修か、自社に合わせてつくるか
  2. 02費用の規模を見る見積をとり、補助の上限と比べる
  3. 03募集の時期を見る県・市・国の公募の予定を並べる
  4. 04要件を確かめるコンソーシアムへの加入、事前相談、GビズIDなど
同じ経費に複数の補助金を重ねて使えるかどうかは、それぞれの公募要領で確かめます。

ロボットの導入を考えている名古屋市内の製造業なら、市のロボット枠の上限500万円は大きな後押しになります。事務のデジタル化や、今のシステムの手直しが中心なら、県の制度の対象の広さが活きます。どちらにも当てはまらない規模の作り直しは、国の制度を中心に考えるのが自然です。

  • ・数十万〜数百万円のツールの導入・改修:県や市の制度
  • ・登録された既製のツールの導入:国のデジタル化・AI導入補助金
  • ・自社に合わせたシステムの本格的な構築:国の省力化投資補助金(一般型)
  • ・ロボットの導入(名古屋市内):市のロボット枠

6. 製造業・建設業では、どんな取り組みが候補になるか

愛知県は製造業の集まる地域で、建設業の会社も多くあります。業種によって、DXで手をつけやすい業務は違います。製造業では受注や生産の管理、見積の作成、取引先から届く注文書の入力が、建設業では現場の日報や写真の整理、安全書類の作成、見積や積算が、手間の大きい業務として挙がりやすいところです。

表4 取り組みの例と、候補になる制度の目安
取り組みの例候補になる制度の目安
注文書の読み取りと、今の生産管理への取り込み県の制度(システムの構築・改修)、規模が大きければ国の一般型
kintone・Excelに分かれた管理の、一つのシステムへのまとめ直し県の制度、規模が大きければ国の一般型
登録された工事管理・勤怠・会計のツールの導入国のデジタル化・AI導入補助金、県や市の制度
工場へのロボットの導入(名古屋市内)名古屋市の制度のロボット枠
DXの進め方を決めるためのコンサルティング県の制度(コンサルティングも対象)
出典:東海DX伴走室編集部の整理(対象になるかどうかは、各制度の公募要領で確かめます)

同じ取り組みでも、費用の規模によって合う制度が変わります。まず小さな範囲で試して効果を確かめ、次の年度に範囲を広げるときに別の制度を使う、という段階の踏み方もあります。一度にすべてを補助金で賄おうとするより、段階ごとに合う制度を選ぶほうが、要件にも募集の時期にも合わせやすくなります。

注意県や市の制度でも、いつから契約や発注をしてよいかは要領で決まっています。見積をとった段階で契約を急がず、申請と交付の決定の順番を先に確かめてください。

7. 申請の前に、社内でまとめておく中身

県の制度も市の制度も、申請では「今どんな課題があり、何を入れて、どう変わるのか」を書面で示すことになります。書き方の細かい決まりは制度ごとに違いますが、中身の骨組みはおおむね共通しています。社内で次の4つを言葉にしておけば、どの制度に申請する場合でも使い回せます。

  • ・今の課題:どの作業に、誰が、どのくらいの時間を使っているか
  • ・入れるもの:ツール、システムの改修、コンサルティングなどの中身と費用の内訳
  • ・変わること:入れたあとに、どの作業の時間がどれだけ減るか
  • ・進め方:いつ契約し、いつ使い始め、誰が社内で受け持つか

とくに「変わること」は、数字で示せると説得力が増します。注文書の入力にかかる時間、見積の作成にかかる時間、現場の日報をまとめる時間など、今の作業時間を2週間ほど記録しておくだけでも、申請書類の中身がぐっと具体的になります。記録は申請のためだけでなく、入れたあとに効果を確かめるときの比べる材料にもなります。

8. 来年度に向けて、今のうちに済ませておくこと

2026年度の県と市の制度は締め切られましたが、来年度も同じような制度が設けられるかどうかは、それぞれの公式ページで確かめる必要があります。制度が続く場合に備えて、今のうちに済ませておけることがあります。いずれも、募集が始まってからでは時間がかかる手続きです。

  • ・あいち産業DX推進コンソーシアムへの加入(県の制度の要件)
  • ・名古屋市新事業支援センターか名古屋商工会議所への相談(名古屋市の制度の要件)
  • ・GビズIDプライムの取得(国の制度の電子申請に必要)
  • ・入れたいものの見積と、今の業務にかかっている時間の記録

見積と業務の時間の記録は、どの制度を使う場合にも役立ちます。何にいくらかかり、どの作業がどれだけ楽になるのかがまとまっていれば、募集が始まってからは申請書類の中身を整えるだけで済みます。申請書類の作成は行政書士の業務です。東海DX伴走室では、名古屋を含む愛知県内の会社の業務システムの作り直しを、入れるものの見きわめから一緒に進めています。

9. よくあるご質問

Q
愛知県の補助金は今から申請できますか?
A
2026年度の愛知県の中小企業デジタル化・DX促進補助金は、3月6日から5月12日まで募集され、すでに終わっています。次年度の公募を県の公式ページで確かめてください。
Q
名古屋市の補助金に事前相談は必要ですか?
A
必要です。名古屋市新事業支援センターか名古屋商工会議所での事前相談が要件で、ロボット枠は名古屋市新事業支援センターでの相談が必須です。
Q
県と市の補助金を同じ経費に重ねて使えますか?
A
重ねて使えるかどうかは、それぞれの公募要領で決まっています。計画を立てる前に、県と市の窓口に確かめてください。
編集部
この記事を書いた人
東海DX伴走室編集部
東海4県の製造業・建設業のDXを支援しています。制度の内容は、公開日時点の公的機関の資料をもとにしています。
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