kintoneが限界に近づいたときに出る5つのサインと、作り直しの判断
- 公式情報の確認日
- ✓kintoneは、小さく始めて自分たちで直せる点が強み。限界はアプリ同士のつながりに出る
- ✓アプリの数や入力の重なりが増えたら、全部を作り直す前に「どこが詰まっているか」を見る
- ✓作り直すときは、効果の大きい業務から少しずつ移し、今の画面の使い勝手は残す
1. kintoneが向いている使い方
kintoneは、表計算のような感覚で業務のアプリをつくれるクラウドサービスです。案件の管理や日報、問い合わせの記録など、紙やExcelで回していた業務を、プログラムを書かずにアプリにできます。現場の担当者が自分で項目を足したり、画面を直したりできるため、小さく始めて育てていく使い方に向いています。東海地方の製造業や建設業でも、顧客や案件の管理から使い始めた会社は少なくありません。
- ・1つの業務を1つのアプリで管理する使い方
- ・担当者が自分で項目や画面を直していく使い方
- ・一覧の検索や集計を、みんなで同じ画面で見る使い方
一方で、使い込むほどアプリの数が増え、アプリ同士をつなぐ必要が出てきます。受注のアプリから製造のアプリへ、製造から出荷へ、出荷から請求へ。業務の流れに沿ってデータを受け渡すようになると、kintoneの得意な「1つの業務を1つのアプリで」という形から少しずつ外れていきます。限界が表に出てくるのは、このつながりの部分です。
2. 限界に近づいたときに出る5つのサイン
次のようなことが社内で起きていたら、kintoneの使い方を見直す時期に来ている可能性があります。どれか1つが当てはまるだけで作り直しが必要になるわけではありませんが、いくつも重なっているなら、全体を見直す価値があります。
| サイン | 起きていること | 困ること |
|---|---|---|
| アプリの全体がわからない | アプリが増え、どれが何のためか説明できる人がいない | 新しい担当者が覚えられない |
| 同じ内容を何度も入力する | アプリ同士がつながらず、転記が残っている | 入力の手間と転記の誤りが増える |
| つくった人しか直せない | 計算やつなぎの設定が複雑になっている | 担当者が辞めると直せなくなる |
| 集計をExcelでやり直している | アプリをまたいだ集計ができない | 毎月の集計に時間がかかる |
| 追加の機能や費用が増え続ける | 足りない機能をプラグインや外部のサービスで補っている | 費用と管理の手間がかさむ |
とくに気をつけたいのは、3つめの「つくった人しか直せない」状態です。kintoneは自分たちで直せることが強みですが、複雑になったアプリは、つくった人以外が触ると壊してしまう心配から、誰も手を付けられなくなります。直せないしくみは、業務の変化についていけなくなります。取引先が増えた、品目が増えた、帳票の書式が変わったといった変化のたびに、つくった人を探して頼むことになり、その人が異動や退職でいなくなると、しくみごと止まってしまいます。
3. アプリが増えすぎるのはなぜか
アプリが増えすぎる原因の多くは、業務の流れ全体を決める前に、目の前の困りごとから順にアプリをつくってきたことにあります。これはkintoneの使い方として間違いではなく、むしろ小さく始められる良さでもあります。ただ、業務が広がったあとで全体を見直さないと、似たアプリや同じ項目が社内のあちこちに残ります。
- 困りごとが出るたびに、新しいアプリをつくる
- 同じ顧客の情報が、複数のアプリに入っている
- アプリ同士の受け渡しは、人が転記している
- 受注から請求までの流れを先に決める
- 顧客や品目の情報は1か所にまとめる
- 受け渡しはしくみの中で自動で行う
業務の流れを一度書き出してみると、残すべきアプリと、まとめられるアプリが見えてきます。アプリの数そのものよりも、アプリの間を人の手でつないでいる箇所の数のほうが、手間の大きさをよく表します。書き出すときは、受注から請求までの流れに沿って、どのアプリにどの情報を入れているか、誰が入力しているかを1枚の紙に並べるのがわかりやすい方法です。同じ情報を2回以上入れている箇所に印を付けると、手間の大きい場所が一目でわかります。この整理は、kintoneを続ける場合にも、作り直す場合にも役に立ちます。
4. 続けるか、作り直すかの判断
続けるか作り直すかは、費用だけで決めると後悔しやすい判断です。判断の軸は、アプリ同士のつながりがどれだけ業務の中心にあるかです。部署ごとに独立した業務が多いなら、kintoneを整理しながら続けるほうが合っています。受注から製造、出荷、請求までが一続きで、その流れでの転記や集計に手間がかかっているなら、流れ全体をひとつのしくみにまとめる作り直しが向いています。
| 見るところ | kintoneを整理して続ける | 業務のしくみを作り直す |
|---|---|---|
| 業務のつながり | 部署ごとに独立した業務が多い | 受注から請求までが一続き |
| 直す人 | 社内に直せる担当者がいる | つくった人しか直せない |
| 集計 | アプリの中で足りている | アプリをまたいでExcelでやり直している |
| これからの変化 | 今の業務のまま続く | 取引先や品目が増えていく |
作り直す場合でも、kintoneをすべてやめる必要はありません。部署の中で完結している業務はkintoneに残し、つながりの中心になる受注や生産管理だけを移す形もとれます。新しいしくみとkintoneの間でデータを受け渡すようにしておけば、現場は今までどおりkintoneの画面を使い続けられます。大事なのは、今の画面に慣れている現場の負担を増やさないことです。
5. kintoneを整理して続ける場合のやり方
判断の結果、kintoneを続けることにした場合も、そのまま使い続けるのではなく、一度整理しておくと先々の手間が減ります。整理の中心になるのは、使われていないアプリを止めること、同じ情報を入れているアプリをまとめること、そして直し方を社内に残すことの3つです。
- ・しばらく更新されていないアプリを洗い出し、止めるか残すかを決める
- ・顧客や品目など、複数のアプリに入っている情報は1つのアプリにまとめて参照する
- ・アプリごとに、何のためのアプリか、誰が直せるかを一覧にして残す
- ・計算やつなぎの設定を変えたときは、変えた理由を書き残す
とくに最後の2つは、つくった人しか直せない状態を防ぐために欠かせません。アプリの一覧と直し方の記録があれば、担当者が替わっても引き継げます。整理にかかる時間は、アプリの数と複雑さによって変わりますが、業務を止めずに少しずつ進められます。整理をしてもなお、転記や集計の手間が減らない場合は、そこで改めて作り直しを検討すれば十分です。
6. 作り直しの前に、社内で決めておくこと
作り直しを外部に頼む場合でも、社内で決めておくべきことがあります。いちばん大事なのは、社内の窓口になる担当者を決めることです。現場の困りごとを集め、画面の案を確かめ、使い始めたあとの質問を受け止める人がいないと、できあがったしくみが現場の実感とずれていきます。
- ・社内の窓口になる担当者(現場と事務の両方がわかる人が向いている)
- ・移す業務の順番(効果の大きいもの、困りごとの多いものから)
- ・今のアプリのうち、残すものと移すもの
- ・使い始める時期(繁忙期を避ける)
使い始める時期も、あらかじめ決めておくと進めやすくなります。年度末や決算の前後、工事の繁忙期に新しい画面へ切り替えると、慣れない操作が重なって現場の負担が大きくなります。少し余裕のある時期に、1つの業務から切り替えるのが確実です。今のアプリを並行して使える期間を設けておくと、万一のときも業務が止まりません。
7. 作り直すときの進め方
作り直しは、一度に全部を入れ替えるのではなく、効果の大きい業務から順に移すのが確実です。業務を止めずに進められ、現場も少しずつ新しい画面に慣れていけます。最初に移す業務は、転記や集計の手間がいちばん大きいところが向いています。受注と生産管理のつながりで二重入力が起きているなら、そこから始めると、使い始めた直後から手間の減り方が見えます。
- 01今の表を棚卸しアプリと入力の流れを洗い出す
- 02設計まとめる形と、移す順番を決める
- 03開発と移行業務ごとに移し、データも移す
- 04使い始めと改善使いながら直し、次の業務へ
- ・現場が慣れている画面の並びや言葉は、できるだけ残す
- ・今のデータは移したうえで使い始める
- ・仕様書と操作説明を残し、直せる形で受け取る
8. 作り直しの費用を抑える制度
業務に合わせてつくるシステムには、中小企業省力化投資補助金(一般型)が使える場合があります。中小企業の補助率は1/2なので、たとえば開発費が1,000万円なら、補助を受けられた場合の自己負担は500万円になります。
この補助金は、交付の決定より前に契約や発注をしたものは対象になりません。生産性と賃金を上げる事業計画も必要で、導入したあとには、計画で約束した目標の達成状況を報告します。作り直しの計画と補助金の計画を別々に立てると、公募の時期に合わず開発が遅れることがあるため、はじめから一緒に考えておくのが確実です。東海DX伴走室では、今のアプリの棚卸しから、補助金に合う計画づくり、開発と移行、使い始めてからの手直しまでを一緒に進めています。
