はじめに
複数のベンダーから見積を集めると、金額に大きな差が出ることがよくあります。安いほうを選びたくなりますが、その差がどこから来ているのかを確かめないまま決めると、開発が始まってから追加の費用や手戻りに悩まされることになります。
見積を評価するときに、発注者として押さえておきたい3つの観点を整理します。
観点1 どこまでが見積の範囲に入っているか
最初に確かめるのは、見積に含まれている作業の範囲です。要件定義の一部、データの移行、テスト、利用者への教育、稼働後の保守。ベンダーによって、どこまでを見積に入れているかは大きく異なります。
金額の差の多くは、この範囲の違いから生まれます。各社の見積を同じ作業の一覧に並べ直し、含まれているもの・いないものを一つずつ確かめていきます。
観点2 工数の前提は何か
次に、工数を見積もった前提を確かめます。画面や帳票の数、外部システムとの連携の数、どこまで既製の機能で済ませるか。前提が違えば、同じ要件でも工数は大きく変わります。
前提が見積書に書かれていない場合は、遠慮せずに質問します。前提を言葉にしてもらうこと自体が、ベンダーの理解度を測る手がかりにもなります。
見積の差は、たいてい「範囲」と「前提」の差です。金額はその結果にすぎません。
観点3 誰が、どれだけ関わるのか
最後に、体制を確かめます。誰がプロジェクトの責任者になるのか、要件を理解したメンバーが開発まで関わるのか、どの作業を誰が担当するのか。体制が見えない見積は、金額が安くても注意が必要です。
- 見積に含まれる作業と、含まれない作業が明記されているか
- 工数の前提(画面数・連携数・既製機能の範囲など)が書かれているか
- 責任者と主なメンバー、それぞれの関わり方が示されているか
- 追加の費用が発生する条件が説明されているか
金額だけで比べないために
見積の評価で大切なのは、各社の見積を同じ物差しで比べられる形にそろえることです。範囲と前提をそろえたうえで改めて比べると、金額の差の意味がはっきりします。
発注者の側に立って見積を読み解くことは、ベンダーを疑うためではありません。お互いの認識をそろえ、開発が始まってからの行き違いを減らすための準備です。
