はじめに
要件定義のために現場のヒアリングをすると、「特にありません」「今のままで大丈夫です」という答えが返ってくることがよくあります。現場に困りごとがないわけではありません。聞き方が、困りごとを引き出せる形になっていないのです。
「欲しいもの」ではなく「今の仕事」を聞く
「新しいシステムに何が欲しいですか」と聞かれても、多くの人はすぐには答えられません。代わりに「朝出社してから、最初にどんな作業をしますか」のように、今の仕事の流れを順番に話してもらいます。
仕事の流れを追っていくと、手入力の転記、確認のための待ち時間、別の資料を探す手間など、本人が当たり前だと思っている困りごとが自然と見えてきます。
困りごとは、要望としてではなく、仕事の話の中に隠れています。
例外とつまずきを聞く
普段の流れを聞いたら、次は例外を聞きます。「いつもと違う対応が必要になるのは、どんなときですか」「作業が止まってしまうのは、どんなときですか」。システムの要件で漏れやすいのは、こうした例外の扱いです。
数と頻度を確かめる
困りごとが見つかったら、その数と頻度を確かめます。毎日起きるのか、月に一度なのか。一件あたりどれくらいの時間がかかっているのか。数を押さえておくと、どの困りごとから手を付けるべきか、優先順位を判断しやすくなります。
ヒアリングで使える質問
- この作業の前と後には、どんな作業がありますか
- いつもと違う対応が必要になるのは、どんなときですか
- この作業は、どれくらいの頻度で、何分くらいかかりますか
- この作業で、いちばん気を遣うのはどこですか
聞いたことを、その場で確かめる
最後に、聞いた内容を簡単な業務の流れの図にして、その場で見てもらいます。「この理解で合っていますか」と確かめることで、聞き違いを防げるだけでなく、相手が言い忘れていたことを思い出すきっかけにもなります。
ヒアリングは、要望を集める場ではなく、現場の仕事を理解する場です。その姿勢が、本当に役立つ要件につながります。
